2023年2月16日から3月8日までオーストリア共和国に赴き、ウィーンのオーストリア国立文書館および国立図書館、そしてザンクト・ペルテンの下オーストリア州立文書館にて、「諸身分史料庫 Staendisches Archiv」に収められている諸史料、とりわけ基本史料となる領邦議会関係文書(NOELA. Landtagshandlungen. Karton 1-89)の調査を、1749年から1756年までの分を中心としておこなった。 この調査により、ハプスブルク王権がオーストリア継承戦争の終了後、従来手を付けずにいた諸身分の伝統・慣習・特権に対する攻勢を強め、それらを自らの有利になるよう改変する様々なアプローチをおこなっていたことが明らかとなった。ここで得られた知見は、「基盤研究(C) 22K00966 啓蒙改革期ハプスブルク君主国における王権と諸身分 1749-1763」においても生かしていく予定である。 また、2022年度までの研究成果に基づき、論文「「穏健な君主政は最上の政体」-啓蒙改革期ハプスブルク君主国における複合的国制と王権の諸身分認識-」を『西洋史学』273号に発表した。 その他、やはり2022年度までの研究成果に基づき、川成洋[編者代表]『ハプスブルク事典』(丸善、2022年)にて、「スペインの斜陽」「オーストリア継承戦争」「マリア・テレージア」「ハウクヴィッツ」「カウニッツ」「七年戦争」の諸項目を執筆した他、編集協力者の任も担った。
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