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2022 年度 実績報告書

初期イスラーム時代のグラフィティを用いたアラビア半島ヒジャーズ地方の道の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01060
研究機関金沢大学

研究代表者

徳永 里砂  金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員准教授 (00458936)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードアラビア語 / グラフィティ / 碑文 / 初期イスラーム時代 / アラビア半島 / タブーク州 / ヒジャーズ地方 / 道
研究実績の概要

イスラームの二大聖地を擁するヒジャーズ地方は、巡礼、交易など多様な目的でやってきた人々が集中する地域である。本研究では5年間に亘り、その北部にあたるタブーク州のワーディー(涸谷)を踏査し、イスラーム最初期の通行者が残したグラフィティの分布を調べた。コロナ感染拡大によって約1年半の調査休止を余儀なくされたため、調査域の偏りが生じているのが前年度までの問題点であった。本年度は、研究の総括に向け、これを解消することを第一の課題とし、網羅的かつ重点的な分布調査を3回実施した。
第1回目の調査は、金沢大学・サウジ文化遺産庁合同調査の一環として、5月に同国タブーク州北部のワーディー・アルヒルカ地域およびザイタ南部にて行った。ワーディー・アルヒルカに関しては上流と2本の支流を含め、全ての踏査を終了した。この調査では約150点のグラフィティを記録したが、現地の研究者によって発表されているものが一部含まれるため、現在照合作業を進めている。2、3回目の調査は早稲田大学・サウジ文化遺産庁合同調査の枠組みで、8月および2、3月に実施した。この調査での初期イスラーム時代の資料の発見は19点に留まったが、調査域を拡大して隈なく踏査を行なった結果、グラフィティの分布パターンを把握することができた。
本年度の研究・調査成果発表については、本年度執筆した『オリエント』掲載の研究ノートを以て、本課題の中で取り組んだ最重要遺跡ワーディー・アルヒルカの状態良好なアラビア語グラフィティ全点の刊行を終えた。また、本年度実施した全ての調査について、学会・研究会発表を行なった。
本課題の調査にて記録したグラフィティの分布、内容の分析を通して、文献史料では知られていない主要なルートの存在のみならず、古代から使用され続ける水供給地に続く小規模な道、地元民が使用した道から成る陸上ネットワークの様相が明らかにされた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] サウジアラビア北西部ワーディー・アル=ヒルカの 初期イスラーム時代のアラビア語グラフィティ註解2023

    • 著者名/発表者名
      徳永里砂
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 65-2 ページ: 141-160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Influence of Aesthetics on Orthographic Decisions in the Early Islamic Graffiti of Wadi al-Khirqa, Northern Hijaz2023

    • 著者名/発表者名
      Risa Tokunaga
    • 雑誌名

      B. O'Kane, A. C. S. Peacock and M. Muehlhaeusler (eds.), Inscriptions of the Medieval Islamic World, Edinburgh: Edinburgh University Press

      巻: - ページ: 559-582

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] サウジアラビア北部の碑文遺跡ワーディー・アルヒルカの通時的考察2022

    • 著者名/発表者名
      徳永里砂
    • 学会等名
      日本オリエント学会第64 回年次大会

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公開日: 2023-12-25  

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