| 研究課題/領域番号 |
18K01066
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| 研究機関 | 広島大学 |
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研究代表者 |
藤野 次史 広島大学, 総合博物館, 教授 (20144800)
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| 研究分担者 |
中村 由克 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (10737745)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 石器石材 / 地域石材 / 高田流紋岩類 / 岩石学的研究 / 石材分布の偏在性 |
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| 研究実績の概要 |
1．石材分布調査 2018年度以前の分布調査の成果および地質図の検討をもとに、西条盆地東部（東広島市上三永）に隣接する竹原市二賀上二賀（賀茂川上流域）、東広島市安芸津町三津（三津大川上流域）を中心に高田流紋岩類の分布調査を実施した。今回の調査により、2018年以前の西条盆地東端部（東広島上三永、黒瀬川上流域）の調査など成果も含めて、石器石材に利用可能な流紋岩類は分布の偏在性が極めて高く、小規模なスポット的石材産地が点在していると想定できるようになった。そうした中でも、黒瀬川、賀茂川、三津大川の各最上流部が隣接する洞山山頂付近に良質石材のスポット的産地が密集していることが判明した。
2．出土石器および採取石材の岩石学的調査 広島大学東広島キャンパス内の旧石器時代遺跡を中心とする旧石器時代石器群の岩石学的研究と石質分類の検討を行った。石器石材の岩石学的検討は実体顕微鏡を使用して西ガガラ遺跡第1地点、同第2地点の岩石学的特徴の検討を行った。本年度は、西ガガラ遺跡の流紋岩類石器の全資料の顕微鏡観察を行い、大半が溶結凝灰岩であることが判明した。石材分布の偏在性から考えて、石材の強い選択性が想定できる。採集石材の肉眼的観察による石質分類の再検討を行なった。今年度の調査では、当初、2000年3月の調査の際の石質分類を踏襲したが、採取資料が増加したことから分類の再検討を行い、大分類4類、小分類11類とした。肉眼的観察による石質分類と石器の顕微鏡観察による岩石学的分類の対応を行い、将来的な石器石材採取地の検討作業に備えることができた。
3．地域石材の考古学的調査 広島大学キャンパス内の遺跡を中心に、広島県における旧石器時代遺跡の地域石材利用状況の基礎調査（出土石材の種類、種類ごとの数量、搬入形態など）を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1．石材分布調査
石材分布調査については、協力者として、県内研究者2名、広島大学大学院生1名の合計3名を依頼し、10回程度の調査を予定した。そのうちの2回は、研究分担者の中村由克が参加して、それまでの成果の確認・共有と岩石学的・地質学的調査を実施する計画であった。調査対象地は人里離れた場所が多く、安全上の理由から、調査は2名以上を原則として実施することとしたが、諸般の事情（西日本豪雨災害対応ほか）から当初の予想以上に日程調整が困難であった。最終的に調査は7回にとどまった。そのため、洞山・包山周辺の石材分布状況を確認する予定であったが、洞山－包山間の地域を中心とする範囲の調査にとどまった。
2．安山岩の岩石的研究
当初、流紋岩類の調査と共に安山岩の顕微鏡観察を中心とする非破壊の産地同定の検討を行う予定であった。流紋岩類の調査が予想以上に時間を要したことから、安山岩の調査は出土石器の顕微鏡観察の途上であり、安山岩原石の観察はほとんど実施することができなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
1．石材分布調査 西条盆地周辺の流紋岩類の分布状況の把握のため、西条盆地の南側隣接地域の高田流紋岩流紋岩類分布域（安芸津ブロック）の分布調査を継続する。調査は、竹原市包山・立掛山・朝日山周辺（加茂川水系）、竹原市野山・蚊無山周辺（三津大川水系）、呉市野呂山・灰ヶ峰周辺（黒瀬川水系）、呉市上蒲刈島・豊島、豊田郡大崎上島（瀬戸内海島部）を対象とする。
次年度は一水系当たりの調査地点数を少し減らして広範囲の石材分布状況の把握に努める。
2．出土石器および採取石材の岩石学的調査 広島大学東広島キャンパス内の旧石器時代遺跡を中心に広島県西部の流紋岩類の岩石学的調査を実施し、石器石材採取地推定のための基礎となる採取石材の岩石学的調査を進める。また、実体顕微鏡による安山岩製石器および安山岩原石の岩石学的調査を実施し、非破壊による産地推定に繋がる研究を行う。
3．地域石材の考古学的調査 広島県出土石器群の基礎調査（出土石材の種類、種類ごとの数量、搬入形態など）を完了し、発掘報告書などにより山口県・島根県出土石器群の基礎調査を行う。また、適宜、地域石材を中心に、出土石器群の現地調査（保管施設での実見）を実施する。
4．流紋岩類の理化学的分析の実施 非破壊による蛍光Ｘ線を利用した理化学的分析を行う。本年度、西ガガラ遺跡第1地点、同第2地点の出土資料の蛍光Ｘ線分析を実施した。しかし、産地推定をするための原産地石材の採取が不十分であったことから、本格的な検討は行わなかった。本年度1年間で分析可能な程度の石材の分布状況が把握できたことから、原石の分析依頼（謝金使用）を行って、今後、同分析による産地推定の可能性について検討を進める。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
石材分布調査の補助に学生の雇用を予定していたが、調査日と雇用予定の学生の都合が合わないことが多く、予定した回数ほど学生を雇用することができなかったため。
次年度は引き続き学生を雇用するとともに、石材の産地分析のため謝金を利用する予定である。
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