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2020 年度 実施状況報告書

旧石器時代サヌカイトの流通に関する体系的研究:東部瀬戸内地域を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 18K01079
研究機関奈良県立橿原考古学研究所

研究代表者

光石 鳴巳  奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 特別研究員 (70263548)

研究分担者 白石 純  岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (70434983)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードサヌカイト / 蛍光X線分析 / 産地推定 / 瀬戸内東部地域 / 岩屋産地 / 旧石器時代
研究実績の概要

本研究は、旧石器時代の遺跡で出土するサヌカイトについて、後世に生じた欠損部を利用して蛍光X線分析を実施し、原産地推定をおこなうものである。2019年11月に分析機器が老朽化により使用できなくなったこと、コロナ禍により試料の移動を伴う分析作業の実施が難しくなったこともあって、研究は当初の計画から大きく遅れている。2020年度の研究は原産地のについてのデータ拡充が主な内容となっており、実績は下記のとおりである。
岡山理科大学の機器が更新された2020年9月以降、原産地データの再取得をおこなっている。並行して前年度までの成果を中間報告としてとりまとめる作業を進めるとともに、サヌカイトの風化が元素組成に与える影響を検討した。これは金山産サヌカイトを用いた弥生時代の石器を試料とするもので、Ti、Fe、Ca、Kそれぞれの元素比の増減に一定の傾向が認められた。風化による元素組成の変化のあり方を把握することで、測定対象とした未風化面の一部にわずかに風化面を含むような場合にも、測定値を補正できる可能性が考えられる。この点は本研究における分析結果を評価する上で重要な所見であり、引き続いて検討が必要である。
引き続き、原産地に関わる基礎資料の蓄積を進めることができた。兵庫県の淡路島で現地踏査を実施し、同島岩屋の松帆海岸で原石を採取した。あわせて海岸への原石の供給源とみられる「まないた山」の現状を確認するとともに、淡路島南部においても踏査を実施し、西路山海岸でサヌカイト原石の散布を確認した。また、香川県国分台周辺(蓮光寺山麓)の踏査をおこない、原石を採取した。これにより藁科氏が原産地として示している国分寺群、白峰群、法印谷群、蓮光寺群に対応する原石データを整理できる見込みである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究開始当初から利用してきた岡山理科大学の分析機器が2019年度に故障したことで、分析の実務は1年以上にわたり実施できていない。2020年9月に機器を更新しており、原産地データの再取得を進めているところである。また、コロナ禍により分析候補の選定とそれに関わる実査、分析ともにおこなうことができておらず、当初の見込みからは大きく遅れている。

今後の研究の推進方策

機器の更新もあり、当面は原石データの再構築を柱とした基礎作業を進めることに重点を置く。分析手法にも課題が多いことを認識しており、その克服を図るための基礎的な分析を進めることとする。
ここまで、とくに当初計画の3年目である2020年度には十分な成果を上げることができていない。期間延長を申請して承認を得ており、また研究分担者の追加によって体制の強化を図ったところである。分析候補の実査を進めるとともに、すでに試料選定を済ませた分析候補についても可能な限り新規の分析実施を進め、成果の蓄積を図りたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じたおもな理由は次の通りである。前年度に分析機器が故障し、9月に更新されるまでは実質的に研究を進めることができていない。分析機器が更新されて以降も原産地データの再構築が必要であったこともあり、分析は実施できなかった。また、コロナ禍の終息が見通せず、移動を伴う作業が思うように進められなかったことで、予算はほとんど執行できていない。
当面は、コロナ禍の推移を見ながら分析実施の計画を立て、研究を進める方針である。また、原産地で採取した原石を試料とした基礎資料の蓄積を優先して進めていく。当該金額については、これらの連絡調整に係る経費、あるいは分析候補選定などに必要な旅費に充当する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 瀬戸内東部の旧石器遺跡におけるサヌカイト産地推定研究の課題2021

    • 著者名/発表者名
      光石鳴巳・白石 純・森先一貴
    • 雑誌名

      旧石器研究

      巻: 17 ページ: 169~176

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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