本研究により、古代宮都や地方の初期官衙遺跡では饗宴の機能に適した空間構造である「ロの字形」を呈する建物配置が採用され、天皇(大王)と臣下や中央官人と在地豪族など参加者間の関係性の維持・強化が図られていたことを見出した。これは、官衙中枢施設は「コの字型」を呈するという前提のもとで歴史的意義が論じられてきた古代官衙研究に新たな研究視点を与える学術的意義がある。 さらに従来の古代官衙遺跡の建物配置復元案や性格づけの見直しを促す成果でもあり、これらの各遺跡の調査・研究を活性化させ、より一層の保護・活用に繋がる社会的意義を有する。
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