研究課題/領域番号 |
18K01088
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
飯塚 義之 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 客員研究員 (90804203)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 石器石材 / 縄文時代 / 新石器時代 / 非破壊化学分析 / ネフライト / ヒスイ |
研究実績の概要 |
ポータブル蛍光X線分析装置(p-XRF)を用いた日本の先史時代、特に縄文時代の石器石材の調査を継続している。2019年度の調査は下記の施設で調査申請ののち許可を受け実施した。 2019年4月仙台市(東北大学考古学教室)福島市(じょうもぴあ宮畑)、青森市(青森県立郷土館)、7月宮城県多賀城市(東北歴史博物館)、8月名古屋市(名古屋市博物館、南山大学)、福井県若狭町(若狭三方縄文博物館)、同県小浜市(福井県立若狭歴史博物館)、10月宮城県東松島町(奥松島縄文村歴史資料館)、同県七ヶ浜町(歴史資料館)、同県仙台市(仙台市縄文の森広場、宮城県教育庁)、10月山形県上山市(山形県埋蔵文化財センター)、同県高畠町(山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館)、11月仙台市(仙台市埋蔵文化財センター)、宮城県多賀城市(東北歴史博物館)、12月群馬県下仁田町(下仁田歴史館)、宮城県名取市(名取市教育委員会)、山形県上山市(山形県埋蔵文化財センター)、2020年1月仙台市(仙台市埋蔵文化財センター)、岩手県盛岡市(岩手県埋蔵文化財センター)。この内、東北大学考古学教室、青森県立郷土館、奥松島縄文村と仙台市埋文センターからは石器石材を借用し、台北市、中央研究院地球科学研究所にてSEM-EDSを用いた化学分析を行った。 石材化学分析を通して、北陸地方を産地とするネフライトや角閃石岩で製作された磨製石斧が、縄文時代の前期から中期にかけて東海地方や東北地方に広く分布している事がわかった。緑色岩遺物はこれまで蛇紋岩製という記載をされている事が多く、岩石学的な再調査が必要性である。またネフライトの拡がりは、原産地を同じくするヒスイに匹敵するものであって、かつネフライトの分布は、ヒスイの拡散に先行するものであることもわかってきた。これらは新しい知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究成果については、のべ4回、2019年4月、6月(2件)、12月に国際学会にて研究成果の口頭発表を行った。2019年度末までに、成果の一部は調査報告書として公表し、また一部は公表準備中である。 p-XRFを用いた石器石材分析から日本の縄文時代に利用された石材とその分布を主たるテーマとする4年計画の第2年度である2019年度は、東北地方で出土した縄文石器の重点的な調査を進めた。p-XRFによる現地分析の結果から、一部の文化財資料を借用し、SEM-EDSによる分析を行うこともできた。年度後半には、予備調査として岩手県、山形県、福井県での調査を行い、今年度以降(4年計画の後半)の分析調査の準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度および第2年度の石器石材分析の結果から、縄文時代の石器石材にはネフライトが用いられていることが確かめられた。またこれらの原石を考えるとき、石材の化学組成は北信越地方に産出するネフライトと対比できる。第3年度は、予察調査でも分布が確認された東北地方、特に岩手県、山形県、福井県を中心とした石器製材の調査を進める。すでにpXRF分析計画の承諾を得ている。一方で、東北地方では、アオトラと呼ばれる北海道産の緑色凝灰岩が石器、あるいは緑色凝灰岩(グリーンタフ)が広く用いられていることが知られておりそれらの分析の機会も設けたいと考えている。さらに第4年(最終)度への足がかりとして、関東甲信越地方への予察調査の機会を得たいと考えている。日本の先史時代における石器の石材は、ヒスイと黒曜石の二つに限られていたが、ネフライト製やアオトラ製の石器の分布を検証することで先史時代のモノの動きを知る新たな指標を得ることが可能であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の決済での残金が生じた。繰越分は今年度に運用する。
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