研究課題/領域番号 |
18K01090
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 いずみ 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (70815258)
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研究分担者 |
吉村 剛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40230809)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 木材食害性甲虫 / ヒラタキクイムシ / シバンムシ / シンクイムシ |
研究実績の概要 |
令和元年度は、平成30年度に開始した内容の継続を中心に以下を実施した。 ①人工飼育および大量飼育検討(継続)、②ケブカシバンムシの雌雄判別の指標となる特徴の調査(継続)、③ケブカシバンムシ幼虫齢数および齢期の調査(継続)、④ケブカシバンムシの製材後経過年数の産卵及び生育への影響(新規)、⑤ヒラタキクイムシ及びアフリカヒラタキクイムシの近親交配による消滅の可能性(継続)、について実施した。 ①について;ケブカシバンムシおよびホソナガシンクイを3種温度条件で飼育中である。ライフサイクルが長い甲虫であるため、最終結果は未だ出ていないものの、ケブカシバンムシは30℃、ホソナガシンクイでは20℃では羽化個体が認められていない。また、市販濾紙を用いた採卵方法を開発し、産卵数や孵化数を確認することが可能となった。これにより、成虫の穿孔が著しく人工飼料のロスが大きいホソナガシンクイの飼育が効率化できた。尚、両種は、大量飼育が順調となり、他研究者へ供与している。クシヒゲシバンムシ、チビタケナガシンクイについても、人工飼料で飼育可能であることが判明した。②について;目安となる部位を測定したが、現時点で明確な指標は見つかっていない。③について;排出される糞を収集し、順次直径と長さを測定中であるが、長さは指標としては適当でないことが判明した。④について;ヒノキ(高温&天然乾燥)に対しては産卵するが、スギ(中温乾燥)に対しては殆ど産卵しない傾向が認められた。60℃にて加温劣化を実施中で、エイジングによる影響を確認する予定である。⑤について;4種頭数区で開始、現在最多10世代目で継続中であるが、ヒラタキクイムシでは多くの区で終息している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象の木材性甲虫類は、ライフサイクルが長いことは予測されていたので、現時点で明確な結果が出ていないことは想定内である。 当初、飼育を試みた全種(ケブカシバンムシ、クシヒゲシバンムシ、ホソナガシンクイ、チビタケナガシンクイ、ケヤキヒラタキクイムシ)から、ケブカシバンムシとホソナガシンクイに重点を置くこととし、頭数は少ないものの通年供試が可能となった。 温度の違いにより生育期間が延長する為、科研費にてリース中のX線CTを用いることで、内部の生育状況を確認、生死判定が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、本年度の研究がほぼ順調に推移したことから、当初の計画に沿って進める予定である。 ①ケブカシバンムシについては、温度条件による生育可否(継続)、製材後経過年数の産卵及び生育への影響(継続)、②ホソナガシンクイについては、温度条件による生育可否(継続)の2点に注力して鋭意研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度からリースしているX線CTのリース費用に少しでも充当する為に、本来使い捨てにする特殊シャーレ等を使用可能な範囲で再利用して、倹約に努めた為。
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備考 |
知の市場「防疫薬総合管理」で木材害虫について講義
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