築造後400年を経過して劣化が進む石垣は、近年多発する自然災害により崩壊する事例が目立つようになってきた。本研究ではまず当時の石垣技術を遺構や史料から復元して、石垣構築技術の一端を明らかにするとともに、現代の石垣修理に応用できる勾配の設計法を視覚化した。次いで、現在の石垣修理技術の由来を行政資料や技能者へのヒアリングから辿り、文化財として「歴史の証拠」と「安定した構造体」の両立を図る修理技術の課題を明らかにした。最後に、今後石垣を適切に保存していくための石垣管理フローと石垣防災の枠組みを提示した。
|