遺跡出土木材を保存するために用いられる薬剤は炭素を含むため、遺跡出土木材の放射性炭素年代測定にとって悪影響を及ぼすことが示唆される。本研究では、保存薬剤の一種である糖アルコールが放射性炭素年代にどのような影響を与えるのか、また、どのようにすればその影響を除外できるのかを検討した。 その結果、糖アルコールの多くは遺跡出土木材の放射性炭素年代を新しい方へシフトさせる傾向があることがわかった。また、洗浄処理を行っても糖アルコールの影響を完全に除去することができないことがわかった。今後は、糖アルコールが残存していても正確な年代を出すことができる手法を検討していく必要がある。
|