国内では、博物館等における展示照明の白色LED化が急速に進んでいる。一方で、展示物の変退色抑制を主眼とした照度基準や積算照度基準は、従来光源であるハロゲンランプや蛍光ランプの時代に提示されたものであり、これらとは発光原理、発光特性(分光分布)などが異なる白色LED光にそのまま適用されることが適切かどうかの実証的研究はないままであった。今回の研究では、特に白色LED光に特長的な狭い波長帯での鋭い発光ピークに着目し、特定波長帯での黄色染料への照射試験により、波長帯による相対的な変退色、色差増大の差を染料の吸収特性との関連で明らかにし、白色LED時代の安全な展示に資する知見を得た。
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