研究課題/領域番号 |
18K01105
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
村田 麻里子 関西大学, 社会学部, 教授 (50411294)
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研究分担者 |
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (10396913)
宮田 雅子 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (20431976)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ミュージアム / 多文化共生 / コミュニティ / 関係性の構築 / コレクション・マネージメント / 展示手法 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本のミュージアムが、多文化共生を求められる状況に対してどのように向き合っているのか、あるいは、向き合えるのかを検討すると同時に、それらの取り組みを可視化するための方法論を模索することを目標としている。 初年度にあたる2018年度は、国内外の調査をそれぞれ開始した。国内では、滋賀県立琵琶湖博物館、金沢21世紀美術館、東京国立博物館、国立科学博物館などの館を訪れ、どのように分析しうるか、その可能性について検討した。 そのうえで、多文化共生が必然となっている国々のミュージアムを調査すべく、ニュージーランド及びサモア独立国において該当する博物館の視察とインタビュー等を行った。調査の主軸となったオークランドの博物館においては、マオリ族との関係を中心に、フィジー、サモア、トンガなどの島嶼国との関係性をいかに構築するかに活動の大部分が置かれている。しかもその活動の大部分が、現在のコミュニティとの関係性の構築、教育プログラム、コレクションマネージメント等、展示以外の活動に軸を置いていたのは印象的であった。一方で、展示にも彼らの思想は反映されており、現在熱心に取り組んでいる関係性の変化を反映して、今後展示のリニューアルが進んでいる。一方、サモアでは想像以上にミュージアムという西洋文化は根付いておらず、オーストラリアやニュージーランドなどの大国と近隣の島嶼国の関係性について、むしろ島嶼国側の視点から逆照射することができた。同時に、現在JICAを中心に博物館文化を育もうとする支援の現場をみることができ、改めてミュージアムと多文化共生の在り方の多様性について考えることが出来た。 現在、国内外のミュージアムで得た知見を往復させながら議論を続けているが、「博物館情報・メディア論」への手法の還元についても、現段階での成果をひとつ出すことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニュージーランド・サモアの調査は、当初の予定より前倒しで行うことが出来たため、当初より早い段階でこれらの知見を得ることができた。一方で、国内での調査はほぼ予定通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当初より予想されたことではあり、また本研究の目的そのものでもあるが、国外の多文化共生を日常とする調査地のミュージアムと、国内のミュージアムとの間には、多文化生の意味合いと取り組みに対する大きな温度差がある。2019年度も、国内と国外の伝統館の調査を続けながら、両者を接合させて語れる地平について探っていきたい。同時に、博物館情報・メディア論への理論的還元についても、昨年度に引き続き、更新していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りの使用内容となったが、当初計上していた国外調査旅費のうち、想定よりはかからなかった分だけ次年度に回すことになった。次年度以降、国内調査を少し増やす予定にしており、そのための旅費に使用する予定である。
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