研究課題/領域番号 |
18K01106
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
緒方 泉 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (10572141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オンライン学習 / 学習コンテンツ / 学習履歴 / 授業デザイン / 学習評価 |
研究実績の概要 |
現在、博物館は全国に5,690館あり、そこで7,800名強の学芸員が働いている。しかし、その半数が非正規学芸員であることから、博物館が有する「守る技術(保存・修復)」「調べる技術(調査研究)」「見せる技術(展示)」「伝える技術(教育普及 )」(以下、4つの技術という)の継承が危機的な状況に陥っている。そのため、大学における学芸員養成教育方法の検討、現職学芸員への学習機会の提供と学習方法の開発による継続的な職業訓練教育(以下、継続教育という)の充実が喫緊な課題となっている。今回は、各都道府県博物館協会への研修実態調査などを基に、集合研修だけでなく、「いつでも、どこでも受講可能な」学芸員オンライン学習システムの開発とそれに伴う学習教材開発、さらにその実施による学習効果評価法の確立について、先行する他分野との比較研究を通じて、大学での学芸員教育及び有資格者の継続教育のあり方を検証したい。研究は、3カ年の研究期間を博物館人材育成に係る「システム開発期(2018年度)」、そして「システム試行・データ収集分析期(2019年度)」、さらに「システム改善と適用期(2020年度)」の3期に分けて遂行する。 初年度は1先行研究調査/既存資料分析、2都道府県博物館協会開催の地域集合研修、MOOC及びSPOC等のオンライン学習の実態調査、3「どの時間帯で、どの層が活用したか(学習傾向分析)」等を知るための学習履歴ログデータ収集分析方法の検討、4学習教材制作を踏まえシステムを開発するに向けた予備調査を行なった。 具体的には、私立大学情報教育協会主催の研究会に参加し、オンライン学習の現状調査、また「守る技術(保存・修復」の映像コンテンツの開発、さらに集合研修(学芸員技術研修会)開催による学芸員の実態調査、学習管理システムを試行運転させ、参加者の学習履歴調査、システムの利便性調査などを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度はシステム開発期と位置づけ、1先行研究調査・既存資料分析(5月~7月)、2地域集合研修・システム・学習教材等に関するWeb アンケート調査(7月~8月)、3地域集合研修会実施・学習教材ニーズに関するインタビュー調査・分析(9月~11月)、4次年度に向けたシステム開発業者選定(12月~2月)、5ニーズ調査に基づく学習教材の企画・制作(11月~3月)を計画した。 概ね順調に進捗したと考えているが、細部についてはもう少し詰められるところがあった。 それは、アンケート調査、インタビュー調査などの分析が完全に終わっていないこと、システム開発業者の選定ができていないことである。 その要因としては、研究代表者が2018年度から所属が「九州産業大学美術館」から「九州産業大学地域共創学部地域づくり学科」に変わったことによる。「九州産業大学地域共創学部」は2018年度4月に発足した新学部である。研究代表者は4月から地域づくり学科主任を拝命し、新たに学科・学部運営業務を担当することになり、十分な研究時間の確保、さらにシステム開発業者との打ち合わせ時間の確保ができなかった。しかし、そうした学科・学部運営業務も2年目に入り少し安定したことから、今後は研究を加速させていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度はシステム試行・データ収集分析期と位置づけている。 1システム開発業者の選定・契約、2学習教材の著作権確認(4月~5月)、3システム受講生募集・登録(4月 )、4システム試行(4月~10月)、5学習履歴ログデータ収集分析(6月~12月)、6スクーリング研修会の実施によるインタビュー 調査・分析(11月)、7学習教材の改善(11月~3月)を計画している。 その他、9月には私立大学情報教育協会でこれまでのオンライン教育研究の進捗について、発表する計画である。こうした場を活用して、多くの研究者と情報交流を深めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度となる2018年度は、研究代表者の所属が「九州産業大学美術館」から「九州産業大学地域共創学部地域づくり学科」に異動した。「九州産業大学地域共創学部地域づくり学科」は2018年度4月に発足した、研究代表者は地域づくり学科主任を拝命したことで、学部・学科運営業務を単横することになり、初めての業務ということもあり、十分な研究時間の確保が難しかった。そのため、アンケート調査などの詰めや現地調査などに伴う人件費・旅費執行が予定通りに進まなかった。しかし、今年度は学部・学科運営業務が落ち着いたこともあり、研究を加速させる計画である。
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