研究課題/領域番号 |
18K01106
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
緒方 泉 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (10572141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オンライン学習 / 学習コンテンツ / 学習環境整備 / 反転学習 / 学びを止めない |
研究実績の概要 |
現在、博物館で働く学芸員の約半数が期限付き非正規学芸員であることから、「守る技術」「調べる技術」「見せる技術」「伝える技術」(以下、4つの技術という)の継承が危機的な状況に陥っている。そのため、大学における学芸員養成教育方法の検討、現職学芸員への学習機会の提供と学習方法の開発による継続的な職業訓練教育(以下、継続教育という)の充実が喫緊な課題と言える。 研究初年度は(1)先行研究調査/既存資料分析、(2)「学習傾向分析」等を知るための学習履歴ログデータ収集分析方法の検討、(3)学習教材制作を踏まえシステムを開発するに向けた予備調査を行なった。2年度目は、視聴回数・時間の把握、ログ分析などを行うため、富士通のオンライン学習プラットフォーム「Fisdom」を活用し、4つの技術のうち、「守る技術」について、「梱包技術」研修会を事例として研究を進めた。受講者の「内化と外化の往還」を繰り返し行う学習活動(知識の獲得・協調活動・表出活動・リフレクション)を基に、「いつでも、どこでも受講可能」な ICT活用による反転授業のデザイン開発に関するデータ集積を行った。3年度目は「システム改善・適用期」と位置付けていたが、コロナ禍で先進事例調査や研修会開催が中止となり、研究計画を変更し、これまでのデータを分析し、学会でのオンライン発表や論文作成に注力する時間となった。 そして、延長した4年度目もコロナ禍で、対面による研究教育活動がなかなかできない中、今回の研究テーマである「オンライン学習による学芸員有資格者の継続的『職業訓練教育』環境構築」に向けて、オンライン学習コンテンツを制作した。それらは、「額装作品の取り扱い」「画面保護ガラスの取り扱い」「額縁の無い平面作品の取り扱い」となった。こうしたオンライン学習コンテンツを整備することで、コロナ禍でも「学芸員の学びを止めない」環境づくりを図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度はシステム開発期と位置づけ、(1)先行研究調査・既存資料分析、(2)地域集合研修・システム・学習教材等に関するWeb アンケート調査、(3)地域集合研修会実施・学習教材ニーズに関するインタビュー調査・分析、(4)ニーズ調査に基づく学習教材の企画を行った。 2019年度は、受講者の「内化と外化の往還」を繰り返し行う学習活動(知識の獲得・協調活動・表出活動・リフレクション)を基に、「いつでも、どこでも受講可能」なICT活用による反転授業のデザイン開発に関するデータ集積を図った。 そのため、視聴回数・時間の把握、ログ分析などを行うため、富士通のオンライン学習プラットフォーム「Fisdom」を活用した。その結果、(1)学習時間の増加(2)学習行動の見える化(3)相乗的な学習の動機付けの誘発等の教育効果が確認できた。さらに、「内化と外化の往還」を繰り返す学習活動は、『わかったつもり』を何度も何度も作り変えていく再構築型」の学習観の形成に繋がることも確認できたことから、2020年度は国内の先進事例調査や研修会開催による学習効果の実証研究を進めることを予定していたが、コロナ禍のため全て中止となった。 しかし、これまでのデータを分析し、学会でのオンライン発表や論文作成に注力できた。 そして、延長した2021年度もコロナ禍が続き、対面による研究教育活動がなかなかできないと判断したため、オンライン学習教材作成を行った。制作した学習教材は、コロナ禍で対面の研修会などに参加できない学芸員の「学びを止めない、オンラインでの学習環境整備につながる」ものとなったことから、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
延長する2022年度については、これまで作成したオンライン学習映像教材を紹介するリーフレットの作成と学習映像教材の公開を行い、全国5000以上の博物館学芸員や学芸員有資格者が「いつでも、どこでも受講可能」なオンライン学習環境の整備を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は「コロナ禍でも学びを止めない」ため、オンライン学習教材を制作したが、それらを紹介する機会がなかった。そのため、今後はそれらを紹介するリーフレットを印刷し、広く公開普及を図っていきたい。
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