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2019 年度 実施状況報告書

少子高齢社会のウェルビーイング創成型地域学習コンテンツの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K01108
研究機関北海道博物館

研究代表者

青柳 かつら  北海道博物館, 研究部, 学芸員 (30414238)

研究分担者 山下 俊介  北海道大学, 総合博物館, 助教 (50444451)
黄 京性  名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (00412875)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード博物館 / 高齢者 / 地域資源 / 映像アーカイブ / ウェルビーイング / 地域学習 / 世代間交流
研究実績の概要

1.道内老人デイサービスセンターの博物館利用 1)アンケート解析:「外出範囲内に博物館がない」「情報発信不足」「休憩場所不足」は、所在地、事業所種別で有意差のない主要課題だった。高齢者のニーズとして、事業所は、博物館よりも「昭和の暮らし」、「高齢者が経験した自然」(p<0.001)、「体験型」、「セラピー的な効果」、「参加型」(p<0.01)展示を多数が回答した。博物館利用とプログラムへの理解には「外出の頻度」等の影響が高く、出前プログラムの開発・提供も重要である。
2.プログラム作成と評価 1)地域学習:高齢者対象のアンケート(朝日N=15、智恵文N=14)では、高い関心と伝承への意欲、道北既存調査結果と同程度に高い主観的幸福感、健康感が見られた。事業効果ヒアリングでは、公民館職員は高齢者の社会参加、教員は児童の地域への関心を挙げた。参画者の多様化と関係強化が課題である。
2)地域知の継承:中学生(朝日N=23)にICT利用を中心にアンケートを実施し、内閣府による青少年のネット利用環境実態調査と比較した。その結果、ネットおよび動画による「地域知」情報発信の潜在的可能性は高いが、学校と連携した情報発信やチラシ等の媒体を利用することが、本研究のHP・SNSの認知の契機になると示唆された。
3)認知症予防:勉強会参加者を「今度会」と命名して組織化した。フィンガー研究等の学習を継続して参加者の意識向上を図ったほか、町内会へ出前講演を提供し、新たな賛同者を開拓できた。生活様式、健康管理、地域活動・趣味への取り組み等の指標を精査し、高齢者・大学研究者の助言を反映して、認知症予防チェックリストの作成を継続した。個別対応、非参加者向けに冬期在宅で実施できるプログラムの開発が課題である。
3.ウェブでの情報発信 HPとSNSページを公開し、参画者の意欲向上、成果品ユーザーの開拓等に活用できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画の各項目とも、ほぼ遅滞なく実施できている。
「1.道内老人デイサービスセンターの博物館利用」では、2018年度実施データを解析し、北海道博物館研究紀要掲載論文として成果を発信できた。
「2.プログラム作成と評価」では、本研究にて2018年度新規に活動基盤を整備した、名寄市智恵文地区の地域学習会について、131回日本森林学会大会にて成果報告できた。加えて当該学習会は、地域からの評価を得て、同日午後に開催する小学校への出前授業の創出につながるなど、地元組織・機関との協働実施体制を強化できた。
同様に、2018年度新規に活動基盤を整備した、名寄市日進地区を拠点とする認知症予防の勉強会参加者を「今度会」として組織化できた。研究を継続的に進める仕組みが整備され、出前講演によって同会への新たな賛同者も現れつつある。
「3.ウェブでの情報発信」では、HPとSNSページを補完的に使用して情報発信したり、ブログを本研究メンバーの輪番で定期的に更新する仕組みができ、本研究成果の発信力が大きく向上した。

今後の研究の推進方策

1.協働による地域学習プログラムの作成 1)地域知収集とプログラム実施:①プログラムの計画:士別市朝日町、名寄市智恵文を拠点に、新型肺炎感染拡大などの動向にも留意しつつ、モデル組織機関と連携した行事を継続する。昭和期の学校生活、食文化、交通等を題材に、高齢者の心身の健康づくり、世代交流に役立ち、地域知を収集するサロンや体験を実施する。
2.プログラムの実践と評価 1)地域学習プログラムの実践と評価 ①事業の客体である高齢者、中学生を対象に、活動目標の達成をたずねる自己評価アンケートを継続実施する。②人事異動等を加味し新たな協力体制をつくりつつ、公民館・博物館職員、学校教員等を対象に、事業効果のヒアリングを継続する。
2)地域知伝承における映像・メディア利用の有効性把握:①高齢者の映像への誘因効果と阻害要因を評価するため、サロン(2019年度)、中学生との交流学習(2020年度)の記録映像を素材に、参加者のコミュニケーション分析を行う。②異世代による「共視聴」実現と視聴成果の記録のため、具体的な実施方法や情報付与の手法を検討する。
3)認知症予防プログラムの実践と評価:名寄市日進を拠点に、①活動休止となる冬期や非参加者向けに、1人でも実践できる、認知症予防の知識普及と個別対応のプログラムを提供する、②大学教員、学生の参画を得た、認知症予防事例に関する勉強会、学習療法などのプログラムを継続する。③勉強会参加者を対象に活動ニーズや課題をたずねるグループインタビューを実施する。④認知症予防チェックリストの作成を継続し完成を目指す。
3.成果の普及 HPとSNSページを更新・充実化し、成果の発信と関心を持つ層の参入促進を継続する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額を生じさせたのは、当初計画からの研究費減額、そして、研究分担者増員に伴う分担金支出を加味して、支出を抑えたためである。研究代表者、研究分担者、研究協力者等、当該研究課題関係者の努力により、研究はおおむね順調に進展している。この次年度使用額については、次年度以降の旅費・物品費、研究分担金の拠出等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 備考 (4件)

  • [雑誌論文] 少子高齢社会のウェルビーイング創成型地域学習コンテンツの開発Ⅱ-北海道内老人デイサービスセンターにおけるレクリエーションと博物館利用に関するアンケートの解析から-2020

    • 著者名/発表者名
      青柳 かつら
    • 雑誌名

      北海道博物館研究紀要

      巻: 5 ページ: 203-222

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 少子高齢社会の地域学習コンテンツの開発:名寄市智恵文の事例2020

    • 著者名/発表者名
      青柳かつら・山下俊介
    • 雑誌名

      第131回日本森林学会大会学術講演集

      巻: - ページ: 212-212

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 高齢者と協働で地域学習コンテンツを開発します2019

    • 著者名/発表者名
      青柳かつら
    • 雑誌名

      森のちゃれんがニュース

      巻: 17 ページ: 4-5

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 少子高齢社会の地域学習コンテンツの開発:名寄市智恵文の事例2020

    • 著者名/発表者名
      青柳かつら・山下俊介
    • 学会等名
      第131回日本森林学会大会
  • [備考] 「博物館を拠点とする地域資源活用研究会」HP

    • URL

      https://wellbeingas.wixsite.com/mysite

  • [備考] 「博物館を拠点とする地域資源活用研究会」facebookページ(リンク)

    • URL

      https://wellbeingas.wixsite.com/mysite

  • [備考] 『北海道博物館研究紀要』5号

    • URL

      http://www.hm.pref.hokkaido.lg.jp/study/publication/bulletin_vol5/

  • [備考] 『森のちゃれんがニュース』vol.17

    • URL

      http://www.hm.pref.hokkaido.lg.jp/post/news/detail12305/

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公開日: 2021-01-27  

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