研究課題/領域番号 |
18K01108
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研究機関 | 北海道博物館 |
研究代表者 |
青柳 かつら 北海道博物館, 研究部, 学芸主査 (30414238)
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研究分担者 |
山下 俊介 北海道大学, 水産科学研究院, 特任助教 (50444451)
黄 京性 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (00412875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 博物館 / 高齢者 / 地域資源 / 映像アーカイブ / ウェルビーイング / 地域学習 / 世代間交流 |
研究実績の概要 |
1.プログラム作成と評価 1)地域学習:感染症対策をとった行事を継続実施した結果、2018年以降、平均参加者数はクローズ参加の朝日町では減少・横ばいだったが、オープン参加の智恵文では増加し、地区内外の参加を得て、参加者を多様化できた。参加者対象アンケート(N=26)では、事業目的が概ね達成され、既存調査と比較して、より高齢でもウェルビーイングが維持される傾向があった。心の健康づくりを実感できる学習プログラム、一層の多様な交流等が課題である。 2)映像による地域知伝承:道北巡回展にて映像を上映するサロンを企画し、士別市(N=11)、美瑛町(N=13)の参加者にアンケートを行った。その結果、開催地の地域映像を活用でき、企画運営手法を開催地の学芸員と共有できた。アンケートでは、日頃のネット使用、サロンの会話量評価について世代間差違が見られた。学芸員等への映像資料の保存利用の啓蒙、デジタルとリアルを併用した知の伝承手法、若年層の疑問を活かす進行等が課題である。 3)認知症予防:コロナ禍でグループ活動は中止となり、認知症の進行や、転居によって連絡が不通となる状況も見られた。これを受け、在宅で個人が実践できる観点から、感染症予防や健康維持、認知症予防の情報を継続提供したり、タブレットを活用して漢字を覚える脳活を継続して奨励した。また、高齢期の健康維持に関する自己チェックシートを作成し、高齢者に配布して、栄養学の大学教員の協力を得ながら運用する取り組みをすることにした。 2.普及と情報発信 成果を道北巡回展として3市町(1市で延期)で公開し、開発したプログラムや地域知を普及した。展示会開催報告等の内容で、HPとSNSページを更新し、道内外閲覧者の増加等につなげた。展示会開催・周辺地でのアクセス数向上が課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の各項目とも、ほぼ遅滞なく実施できている。 「1.プログラム作成と評価」では、地域学習に関して、コロナ禍によって、一部計画通り実施できない研究内容もあった。困難な状況だったが、協力組織・機関との連携を継続することで、感染症対策をとりながら、できるだけ安全・安心に行事を開催する支援知を蓄積したり、行事評価を実施でき、これら知見を論文として公開できた。次に、映像による地域知伝承に関して、1会場での講座延期はあったものの、巡回展関連講座「比べる視点で 地域映像を愉しむサロン」の企画、参加者評価を実施できた。同サロンを、地域映像の共視聴による異世代交流の場、地域知伝承の場として運営し、企画・運営改良のための課題を明らかにした。最後に、認知症予防プログラム開発では、グループ活動を避け、個別対応による情報提供・在宅でできる脳活プログラムの推奨といった代替措置を継続し、高齢者の健康維持に関する自己チェックリストの作成・運用に取り組んでいる。合わせて、高齢者対象のコロナ禍の影響調査の結果を論文として公開できた。 「2.普及と情報発信」では、道北巡回展「探してみよう! 地域のお宝」を3市町(1市で延期)の会場館と共催した。地域学習プログラム、映像アーカイブ、認知症予防プログラムに関わる研究成果を、人口減少・高齢化の進む農村地域の高齢者、青少年を中心に普及できた。本研究の概要と同展示会は、4地方紙で新聞報道されたほか、道博協ニュースで道内博物館関係者に周知された。上記は本研究会ウェブでも道内外に情報発信した。こうした広報効果もあり、現地との連携により、本年度中止となった名寄市にて展示会の次年度延期開催を計画できた。
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今後の研究の推進方策 |
1.プログラム作成と評価 1)地域学習:士別市朝日町、名寄市智恵文を拠点に、感染症動向に留意して協力組織機関と連携した行事を継続する。昭和期の商工業、人生儀礼と食文化等を題材に、高齢者の心身の健康づくり、世代交流に役立ち、地域知を収集するサロンや体験を実施する。評価では、事業の客体である高齢者を対象に、活動目標の達成をたずねる自己評価アンケートを継続実施する。 2)地域知伝承における映像・メディア利用の有効性把握:①高齢者の映像への誘因効果と阻害要因を評価するため、過去に実施したサロン、中学生との交流学習、巡回展関連講座の映像記録を素材に、参加者のコミュニケーション分析を行う。②複数世代による「共視聴」実現と視聴成果の記録のため、映像資料を扱うワークショップを複数実施し、効果的な映像提示のあり方、具体的な実施方法や情報付与の手法を検討する。 3)認知症予防プログラムの実践と評価:①コロナ禍に対応し1人でも実践できる、認知症予防の個別対応プログラム、知識・助言等の提供を継続する。②昨年度作成した、高齢者の健康維持のための自己チェックリストも活用し、栄養学などの専門家による助言及び具体的な情報提供を積極的に行う。 3.成果の普及 1)名寄市にて巡回展「探してみよう! 地域のお宝」を会場館と共催する。会期中、関連講座を共催し、成果の普及と既述「共視聴」に関連した調査を行う。2)HPとSNSページを更新・充実化を継続し、HPのドメイン取得をして、アクセスを増やす。3)分担者3名の共著で5年間の成果を紹介する最終報告書を刊行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額を生じさせたのは、当初計画からの研究費減額、分担金支出を加味して、支出を抑えたためである。コロナ禍によって、やむなく調査計画の一部を中止、変更・順延したり、代替の研究を行ったりする状況はあったものの、研究代表者、研究分担者、研究協力者等、当該研究課題関係者の努力により、研究はおおむね順調に進展している。この次年度使用額については、次年度の旅費、物品費、最終年度末に発行予定の最終報告書の印刷製本費、アルバイト謝金、研究分担金の拠出等に充てる予定である。
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