研究課題/領域番号 |
18K01110
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研究機関 | 群馬県立自然史博物館 |
研究代表者 |
木村 敏之 群馬県立自然史博物館, その他部局等, 研究員(移行) (70469881)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 3Dスキャン / デジタル標本 / コレクションマネジメント / 自然史系博物館資料 / 博物館 / クジラ類 / 骨格標本 / 化石標本 |
研究実績の概要 |
本年度は当初の計画では研究最終年度としていたが,昨年度から引き続き新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により,区域をまたいでの移動や他機関への訪問が著しく制限を受け,特に海外機関での調査は昨年度に引き続き実施することが出来なかった.そこで当初の計画を変更し,海外の自然史系博物館における3Dデジタル標本を中心としたデジタルデータについての館としてのポリシー,取扱や取り組みについての聞き取り調査を行うとともに,これまでの調査に置いて得られたデータの引き続きの整理・加工を進めた. 調査では実際の標本に直接携わる立場としての現場の意見を得る目的で各機関に勤務する研究者あるいは標本管理者への直接のメールによる聞き取り調査を基本とした.その結果,回答のあった多くの館では3Dデジタル標本に特化したポリシーについては策定しておらず,現状では従来の実物標本のポリシーの中での対応が多い.ただし,その様な機関のいずれでも現在3Dデジタルデータについての取扱についてのポリシーの策定の必要性は認識されており,多くは現在検討中であるという回答である.Creative Commonsライセンスなどオープンなコントロールの元でのデータ利用の促進という面を基軸とした扱いが個々の研究者の間での最大公約数的な意見であるが,現時点では組織として明確に規定されていないという現状が見いだされた. 計画3年目より実質的に外部調査を行うことが出来ていないため,補助事業期間延長承認申請書を提出し,承認を得た.そこで引き続き調査を継続してまとめるとともに本来の研究計画に沿うよう調査を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の研究計画に基づいたプロジェクト遂行という面では,技術的な面に関しては特に課題は見当たらない.ただし,本プロジェクトで核となるスキャン作業を担っている所属機関の3Dスキャナについて経年によるメンテナンス要件が発生し,現在一部のスキャナが使用する事が令和4年5月までを目処に使用出来ない状況である.ただし,前述のように現在は外部機関における調査実施に大きな制限があるため,上記の一部機器が使用出来ない期間の発生については,本プロジェクトを遂行する上では大きな障害とはならない.昨年度,本来の調査が実施出来ないことから急遽実施した海外の自然史系博物館における3Dデジタルデータに関連した館としての状況調査については引き続き調査進める予定である.ただし当初計画で実施予定であった海外館における調査実施については実施の可能性が極めて不透明であるため補助事業期間延長を行ったが,それでもなお実施については危ぶまれる状況である.できる限り当初計画を維持することを念頭に置くが,全体的な状況を鑑みつつ延長した最終年度である5年目にまとめを実施する.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として,これまで実施出来ていないスキャン標本について所蔵機関を訪問してスキャン作業を実施する.またあわせて,スキャン実施に伴う訪問館との調整の中で実際のスキャンデータの取扱についての現場での課題を調査する.さらに自然史系博物館における3Dデジタル標本への館としての取り組み・ポリシーの現状調査を進める.ただし課題としては新型コロナウイルス感染症の状況によっては他館における調査実施が困難となる場合も想定される.状況の見極めを早い段階で行い,最終年度として成果を得るための研究遂行を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により特に海外機関での調査などを実施することが出来なかった.そのため補助事業期間延長を行った.本年度も状況によっては海外機関を訪問しての調査実施が困難となる場合も想定されるので,状況の見極めを早い段階で行い,訪問先の再検討を行うとともに,データベース構築やデジタル標本化の一層の充実についても視野に,最終年度として成果を得るための研究遂行を行う.
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