本研究において,最後の投稿論文となる白山山系を含む山地の解体状況に関する地理情報システムを用いた解析に関する論文について,最終的な執筆を終え,英語チェックを受け(本研究費を利用)した.当該論文は,山中(研究協力者)との連名論文として投稿予定である.2023年度の研究費が利用可能になった段階で,国際誌(Progress in Earth and Planetary Science/日本地球惑星科学会議刊行の地球惑星科学に難する国際誌)へ投稿する予定である.研究成果としては以下の内容となる.開析段階の異なる日本国内の複数の山地に対しDigital Elevation Modelを用いてグリッド間隔を連続的に変化させながら接峰面図を作成し,実地形との差分を侵食量として計測している.その結果,山地の開析程度に応じて,グリッド間隔と侵食量の間の相関式が変化していることが確認された.グリッド間隔は浸食が生じている谷の幅を示すものであり,関数式がグリッド幅によって変化することは,谷幅に対する侵食土砂量(≒谷の深さと幅の比)が変化していることを意味する.このことは,開析過程において下刻侵食と側方侵食の優越性が異なることを意味している.この分析方法を適応することによって,山地の開析程度と段階性を定量的に評価することが可能になり,今後の侵食の展開(≒土砂生産≒土砂災害の発生可能性)に関する予測をある程度行えることが示唆された.
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