研究課題/領域番号 |
18K01119
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
山田 周二 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80295469)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地形計測 / 世界の山地 |
研究実績の概要 |
本研究は,高解像度のDEM(数値標高モデル)を用いて,山頂を抽出して,その周辺の起伏と傾斜を計測することによって,世界の山地の険しさを表現する地図を作成することを目的としている.使用するデータは,約30 mメッシュのDEMであり,対象範囲は,北緯60°~南緯60°のすべての陸地および北緯60°以北の大陸である.山頂の定義は,ある半径の円内の中心点が,その円内で最も標高が高い場合に,その中心点を山頂とする,というものである.そして,その円内の最高点(中心点)と最低点との標高差を起伏とした.また,その円内の傾斜を30 mメッシュで算出して,その平均値を平均傾斜とした.半径は,1km, 10km, 100kmの3種類で演算することにした.これは,異なるスケールの地形を表すためである. 初年度には,半径1kmおよび10kmで演算が完了して,そのうち,半径1kmの演算結果の分析を完了した.半径1kmで抽出した山頂に関する演算結果を分析したところ,起伏が 1000 m以上と大起伏な山頂の多くは,環太平洋地域およびアルプス―ヒマラヤ山系に分布することが示され,日本のような面積が狭い地域についても,地形の特徴を読み取ることができた.これは,小縮尺地図において,山頂という,点で地形を表すことが,有効であることを示す.ただし,世界の山頂数は極めて多いため,山頂の重なりが多い場合は,正確に読み取ることが困難な地域もあった.このような点の重複に関しては,今後,改善する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,山頂の抽出を3つのスケールで行うため,3段階で行う計画である.初年度には,第1段階である半径1 kmで抽出する山頂と,第2段階である半径10 kmで抽出する山頂に関する演算が完了した.また,第1段階の演算結果に関する分析を,ほぼ完了することができた.これは,当初予定していた進行状況よりもやや早めであり,概ね順調に進行していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,第2段階の演算結果の分析と,第3段階の演算を行う.第2段階の演算結果の分析方法は,第1段階の演算結果の分析とほぼ同じであり,扱うデータ量は,第1段階よりも第2段階の方が少なくなるため,問題なく分析を進められると考えられる.一方,最もスケールが大きい,半径100kmで抽出する山頂については,演算量が極めて大きくなるため,今のところ,どのくらいの時間がかかるか正確に見通せていない.このため,第3段階の演算を速やかに実行し始める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
成果を発表した学会が,近隣で開催されたため,予定よりも旅費が少額で済んだ.このため,次年度使用額が発生した.当初の予定では,記憶装置を増強する予定であったが,演算に膨大な時間がかかっており,演算結果の分析を十分に行うことが困難な状況になっている.このため,演算結果の分析用に,もう一台PCを購入する必要があり,そのために,使用する予定である.
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