研究課題/領域番号 |
18K01121
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
黒木 貴一 関西大学, 文学部, 教授 (40325436)
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研究分担者 |
後藤 健介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60423620)
宗 建郎 志學館大学, 人間関係学部, 准教授 (60713683)
池見 洋明 日本文理大学, 工学部, 教授 (90380576)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | LPデータ / 神社 / 地形区分 / 火山山麓 / 極微地形 |
研究実績の概要 |
延長1年目は,引き続き大規模な標高変化が続く桜島に焦点を絞り,短期の地形変化を現地確認した。合わせてLPデータによる標高変化の特徴をGISで解析した。未離水の地形面上で生じている活発な土砂移動に伴う極微地形の形成場を地図化した。この地図化は,作成条件によっては,離水した地形面上で生じた極小さな土砂移動をも示せることも分かった。土石流によって標高変化が生じた緩傾斜地は未離水の運搬面で,そこに10m四方の広がりのある砂礫堆が見られる。その個々のその分布を地図で表現できた。離水した人工堤防上では,表面流によるcm単位のわずかな土砂移動があるが,その土砂移動の方向と分布を地図で表現できた。両者から,災害リスクにつながる土砂移動現象の詳細な過程を検討できる基盤ができた。 一方,谷底低地では,2021年に球磨川で発生した洪水被害の調査過程で,神社立地を鍵に被害有無の地形対照をすすめた。また河床に対する自然地盤と人工地盤までの比高,さらに洪水位との比較を行った。峡谷内では離水している地すべり土塊と段丘上の集落は無被害,未離水の氾濫平野では被害が大きかったことを確認した。未離水の崖錐も氾濫平野も,若干比高をもつ山際に立地するものは被害が小さかった。さらに未離水面では,立地場所での地形及び各比高の詳細対比を行った。その結果,洪水被害を逃れる人為的工夫,土台の積み上げ,本殿の山際寄せ等,をもつ建物景観や立地条件を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
桜島及び球磨川では,COVID-19対応で現地確認の不可能な期間が長期に及んだことによる調査不足と,地形変化が活発で調査に適切な時期を逃したことが原因である。一部地域で地形変化が激しすぎたため,基準となる地形が逸失し,変化そのものを検討できなかった。COVID-19対策に時間を要し,検討結果の整理に時間を確保しにくく,また成果を公開する機会も多少失われた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間延長が再度認められたため,R4年度には若干の現地調査を追加し,情報を整理した後に学会発表により成果をまとめたい(研究代表者)。また研究分担者により各所属学会における発表を促す。さらに次の研究展開を見据え,精度を上げた未離水面の極微地形研究への足掛かりをつかむ。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年から継続する遅れが影響し,またそれに度重なるCOVID-19波への慎重対応も加わり,現地調査が十分ではなかった点,それに伴った学会報告が順次遅れた点が使用遅れの背景にある。また学会大会は遠隔リモートが続き,予定した旅費の執行機会を失った。 令和4年度の使用は,学会報告等の発表経費を中心に実施したい。
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