研究課題
東京都渋谷区に設置した観測サイトにおいて、二酸化炭素・酸素・炭素同位体の常時観測を昨年度に引き続き実施した。全体としては順調に計測を行った。また、8月に赤外カメラを設置して市街地における地表面温度の分布のデータの常時取得を開始した。表面温度データは昨年度は短期間のみに限られていたが本年度は継続的に取得できた。表面温度データから大気安定度の連続的な評価を行ったところ、予想に反して安定度が中立の時に輸送量が大きくなる傾向が見られた。その理由については解析を続けている。得られた二酸化炭素輸送量(総輸送量)は2020年4-5月のコロナ非常事態宣言期間中に過去の同時期と比較して約20%減少した。総輸送量を酸素・二酸化炭素濃度比を使って案分し、排出源ごとの排出量を推定したところ、この減少はガソリン消費によるものであり、ガス消費による排出量はむしろ増加していることが明らかとなった。この結果は同時計測した一酸化炭素の濃度データから得られる傾向と一致していた。また、エネルギー消費量についても公表されているデータを用いて解析を行ったところ、ガソリン消費の減少は、交通量データにおいても毎時レベルで確認するができた。ガス消費については消費量のデータが月ごとの統計値しか得られなかったが、やはり増加していることが確認できた。ガス消費が増加する理由は在宅勤務等の増加が原因と考えられる。毎時レベルでの人口データを解析したところ、当該サイト周辺で居住者の増加が確認できた。この結果についてはアメリカ地球物理学会誌に投稿中である。
代々木サイトにおいて計測した二酸化炭素排出量をリアルタイムでレポートするwebサイトを立ち上げた。
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