日本屈指の巨大崩壊地、立山カルデラの北東縁に位置する室堂山周辺には,深層崩壊の予兆現象と考えられる重力断層が複数みられる。GPS測量の結果、重力断層周辺の岩盤では、2018年9月~2020年10月の約2 年間、誤差を明確に超える水平変位がみられなかったが、誤差をやや超える鉛直変位が5地点で観測された。このことから,室堂山の重力断層は、現在でも非常にゆっくりと動いている可能性が出てきた。また、重力断層によって形成された線状凹地内の二つの池で、可搬型パーカッションコアリグシステムを用いた堆積物コアの採取を行った。コア解析の結果、室堂山の重力断層の形成年代は完新世の前期であると初めて判明した。
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