本研究では,長野市善光寺門前エリアを事例に,リノベーションによる中心市街地再生のメカニズムを2つのプロセスから明らかにした。ひとつは,門前暮らしというライフスタイルの共有を背景に,創造的な仕事や教育歴のある人材の移住が展開し,スモールビジネスが連鎖的に立地する「ジェントリフィケーション」プロセスである。もうひとつは,門前エリアの空間や社会の文脈をリノベーションによって継承することで,街並みの再編成やコミュニティの再構築につながる「都市の文脈化」プロセスである。このようなメカニズムによって,門前エリアではこれまでに100件ものリノベーションの集積を実現していることを論じた。
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