研究課題
本研究では、都市の持続可能な移行(UST)論に依拠し、UST研究の分析枠組の1つであるマルチレベルの視点(MLP)を用いて、令和4年度には、対象地域での現地調査を通じて、MLPの最下層に位置づけられるミクロレベルのイノベーションによる、MLPの中間層に位置づけられるメソレベルの支配的な社会技術のレジームならびにマクロレベルのランドスケープへの影響を明らかにすることを目的とし、以下のような研究計画を立てた。まず予備調査で、令和3年度までの研究結果を再検討し、研究対象国である連合王国での現地調査を実施する地域を絞り込む一方で、現地調査の調査事項を決定する。つぎに現地調査では、イノベーションによるレジームやランドスケープへの影響を把握するため、予備調査で決定した調査事項にそって、対象地域で現地調査を実施する。最後に、現地調査の結果を踏まえて、イノベーションのレジームとランドスケープへの影響とその変容を明らかにする。予備調査の際に、OECD、欧州統計局、連合王国の統計局の統計データから、建築物のエネルギー効率に関する特許数の多い自治体が、住宅部門のエネルギー効率に影響を与えており、特に都市自治体でその傾向が顕著であることが示唆された。この予備調査の結果をもとに、他の要素の影響も考慮した研究結果の一部を国際学会で報告した。これらの研究成果をもとに、令和4年7・8月に連合王国で現地調査を実施する一方で、エネルギー関連政策と関連する資料を収集した。最後に調査後の分析では、イノベーションを表す外生変数として建築物のエネルギー効率に関する特許数を、またレジームとランドスケープを表す内生変数を各々建築物省エネルギー性能表示制度への申請件数と住宅部門のエネルギー効率とする構造方程式モデリングを用いた分析を行った結果、レジームがランドスケープに影響を及ぼしていることを明らかにした。
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