研究課題/領域番号 |
18K01144
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阿部 康久 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10362302)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外資企業 / 日系企業 / 中国市場の拡大 / 内発的発展 / 大連 |
研究実績の概要 |
当該年度は、新型コロナウィルスの影響により、調査対象地域である中国に渡航して現地調査を行うことができなかったため、主にこれまでに行った調査内容を論文などにまとめたほか、研究テーマに基づいて、中国沿海地域の中での産業発展の地域性のあり方について考察を行っている。特に当該年度においては、中国においても日系企業の進出地域として知られており、現在でもアウトソーシングの拠点となっている大連市の事例を再検討することで、中国沿海部の都市の中でも外資系企業の進出による発展という側面が強かった都市においても、近年においては中国経済の発展にともなう内発的発展という側面が強くなっている状況について考察を行っている。その一方で、大連市の事例をみる限り、中国経済の発展により賃金水準が高騰しているにもかかわらず、現在も日本企業のアウトソーシングビジネスの拠点という地位を維持している点も注目される。中国の労働市場には、現在でも依然として、先進国に比べると低賃金労働力が多く存在しており、製造業企業や情報サービス産業の進出先になっているという側面があり、中国国内における就業者の所得水準の二極化が進んでいる可能性がある。現時点では、まだまとまった研究成果の発表には至っていないが、1年間の研究期間の延長が認められたため、今後も考察を続けるとともに、現地調査が可能なようなら、より詳細な調査を行っていきたい。調査対象として大連にてアウトソーシングビジネスを行っている大手企業に調査協力を得られる可能性があるため、場合によっては日本の本社でのインタビュー調査を行うことも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により、中国への渡航と現地調査を行うことができなかったため、研究の進捗がやや遅れてしまった。ただし、2019年度までに行った調査内容に基づいて、いくつかの論文執筆は行い、一定の研究成果を出すことはできた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を一年間延長してもらうことができたため、2021年度中には、ある程度の追加での資料・情報収集を行い、研究成果をまとめていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスのため中国への渡航ができず、現地調査ができなかったため。次年度使用額の使用計画としては、次年度後半の中国渡航費およびオンライン調査のための費用としての使用を検討している。
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