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2018 年度 実施状況報告書

超高級食材をめぐる国際産地間競争の動態分析-Wagyuの産地システム変動を事例に

研究課題

研究課題/領域番号 18K01145
研究機関大分大学

研究代表者

大呂 興平  大分大学, 経済学部, 教授 (50370622)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードwagyu / 家畜改良 / 生産 / 販売 / 超高級食材
研究実績の概要

初年度である平成30年度は,海外のwagyu産業における生産・流通・販売の現状や産地体制を把握するために,主要生産国や新興生産国における業界団体,主要な生産者や販売組織等に調査を行った.具体的には,ヨーロッパの新興生産国であるイギリスやスペインを訪問し,現地のwagyu協会,主要な生産者,wagyuを扱うデパート等で聞き取り調査を行った.加えて,主要生産国であるオーストラリアおよびニュージーランドを訪問し,同国の主要な生産者に詳細なインタビューを行った.これらの予察的作業を通じて,以下の点が整理された.(1)各国のwagyu産業は,それぞれの生態・社会条件のもとに歴史的に形成されていた肉用牛の生産方式や消費形態(具体的には,在来の家畜登録制度や改良の体制,繁殖や肥育の方法,既存の農家や企業といった主体,牛肉の販売のされ方といった,ローカルな「制度」と言うべきもの)のうえに展開しており,wagyuの生産方式や流通形態,産業組織,それらの連鎖は,国ごとに大きく異なっている.(2)wagyuのグローバルな産地間競争においては,こうした各国に根付いていたローカルな「制度」を,超高級食材であるwagyuの改良・生産・販売に適したものに改変し,それを高付加価値販売に結びつけていくことが模索されている.(3)こうした対応は,wagyu産業を構成する,利害の異なる多数の主体の行動を通じて実現される複雑なものであり,これを分析するためには,改良・生産・販売という各プロセスにおける「制度」と主体の行動に注目する視角や分析枠組みが重要である.2年目となる令和元年度以降は,以上の見方を適用しながら各国のwagyu産業を分析するとともに,そうした見方が高付加価値農産物の産地間競争にどのように一般化できるのかについても検討を進めたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究期間の1年目では,海外でのwagyu産地の調査を精力的に進めることができ,おおむね計画通りに研究を遂行できた.ただし,高級ワインやフォアグラ等,超高級食材の貿易動向については,その把握を試みたものの,定量的な把握は困難であった.正確な把握のためには定性的な断片的情報を積み重ねる必要がある.

今後の研究の推進方策

2年目の作業としては,海外wagyu産地の調査を引き続き進めると同時に,産地の動態を体系的に説明するための分析枠組みを構築する.また,超高級食材の貿易動向について,定性的把握を進める.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 九州・沖縄地方2018

    • 著者名/発表者名
      大呂興平
    • 雑誌名

      経済地理学年報

      巻: 64(別冊 経済地理学の成果と課題 第Ⅷ集) ページ: 184-187

  • [学会発表] How Tongan Squash industry “downgraded” in the emerging global value chain?: The evolution of a local supplying system2018

    • 著者名/発表者名
      Kohei Oro
    • 学会等名
      Global conference on Economic Geography
    • 国際学会
  • [図書] 食と農のフィールドワーク入門2019

    • 著者名/発表者名
      荒木一視、林紀代美 編著 大呂興平
    • 総ページ数
      264(197-206)
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812218099

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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