研究課題/領域番号 |
18K01147
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
宮内 久光 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (90284942)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 交通インフラ / コンビニエンスストア / 島内産業連結 |
研究実績の概要 |
今年度は研究課題を解明するために以下の分析や調査をおこなった。 第1の研究課題である生活インフラの状況については、離島の生活の基盤となる交通インフラを取り上げ、港湾・航路と空港・航空路について資料を収集し、分析をした。1980年以降、10年ごとに経年変化をみると、港湾・空港整備は近年の公共事業縮減傾向の中にあっても一定の整備がされている。航路・航空路についてネットワーク分析から1990年代以降、奄美・沖縄離島などを結ぶ観光路線は拡充しているが、生活路線は縮小していること、海域によって縮小傾向が異なることが明らかになった。 生活インフラとして、24時間営業のスーパーやコンビニエンスストアをはじめとする商業施設の重要性は離島でも高くなっている。今年度は鹿児島県奄美大島において24時間営業を行っているスーパーG社およびコンビニF社の対応について、沖永良部島では和泊・知名の商店街各店の住民対応について、商品・サービス提供について聞き取り調査を行った。特に、沖永良部島では、大手3チェーンに所属しない二つのコンビニ店が、本土では経営的に不利といわれるボランタリーチェーンであることを活かして、島の住民に利用されやすい様々な商品サービス展開を行っており、大手チェーン店が出店しにくい離島においても、各種サービスが提供できることを示唆していた。 第2の研究課題である集落機能維持のための多機能化については、今年度は職業の複合化と島内産業連結について、沖縄県座間味島と伊良部島で調査した。伊良部島は漁業が盛んな島である。さらに近年、マリンレジャー業者の進出が著しく、業者は伊良部島・下地島マリンレジャー組合を結成し、21業者が加盟している。この10年で島で開業した業者が多いため、マリンレジャーのサービスには多様性が認められるが、島内産業連結は座間味島と比較して弱い傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3月27-29日に予定されていた日本地理学会(於駒澤大学)に参加して、離島研究グループで研究成果について意見交換をする予定であったが、新型コロナウィルス蔓延のために中止になった。また、同様の理由で伊良部島や座間味島への追加調査を3月上旬に行わなかった。しかし、それ以外は、資料収集や現地調査などは予定通りに行われているため、研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き交通インフラの整備状況の変遷について、データ分析を進め、その結果を論文化する。また、職業の複合化と島内産業連結についても、座間味島や伊良部島で引き続き調査を進め、その結果を論文化する。 さらに、全国レベルで生活インフラの整備状況を項目を定めて資料収集、データ入力、分析を引き続き行うとともに、いくつかの特徴的な離島において現地調査を実施する予定である。 現在、新型コロナウィルス蔓延のために現地調査などは禁止されている。状況によっては、次年度は現地調査などができない可能性も高い。その場合は、資料は電話依頼やアンケート郵送方式に切り替える。また、仮に調査行為が解禁となっても、対象地域が調査を受け入れてくれるのかを確認し、調査を行う場合は三密を避け、短時間で行うように心がける。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月27-29日に予定されていた日本地理学会(於駒澤大学)に参加して、離島研究グループで研究成果について意見交換をする予定であったが、新型コロナウィルス蔓延のために中止になった。そのため、約10万円程度の旅費が未使用分として生じた。また、同様の理由で伊良部島や座間味島への2回目調査を3月上旬に行わなかったため、計7万円程度の旅費が未使用分として生じた。 前者の未使用分については、次年度に研究遂行に必要な物品を購入する。また、後者の未使用分は新年度に入って、調査が可能になった段階で速やかに実施する。
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