本研究の目的は,ランドスケープ政策に参画する地理学の学問的基盤について,ヨーロッパにおける地理学の研究実践を参照しながら明らかにすることである。そのために,①建築・都市計画や造園学などの工学系分野との協働において,人文社会科学としての地理学が果たすべき積極的役割を問う;②ランドスケープの特性評価や質目標の設定において,市民参加を実質化する方法論を明らかにする;③ランドスケープ政策を支える地理思想を明らかにする,という大きく3つの論点を設定した。実施にさいしては,欧州ランドスケープ条約の政策実践に地理学者が関与したスペインとイタリアの調査を中心に,ランドスケープ政策に関する理論的検討で補完した。
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