研究課題/領域番号 |
18K01150
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
大場 茂明 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (10185366)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 住宅政策 / 都市居住 / コミュニティ再生 / ジェントリフィケーション / ハンブルク / 公有地政策 |
研究実績の概要 |
本年度は新型コロナウイルス感染症流行のため、当初予定していたドイツでの現地調査を実施することが不可能となった。そのため、国内にて連邦・州・自治体の住宅政策をはじめとするドイツ都市政策の動向に関する文献・資料や、現地関係機関が公表している公文書類を収集するとともに、前年度までに現地調査を行った地区再開発事業のその後の展開については、インターネットを通じて資料収集・分析を行った。 あわせて、これまで現地で実施した住宅政策専門家や地区再開発事業担当者に対するインタビューのテープ起こしを行った。その際、内容が不明確な部分については、メールを使用してインタビュー相手に問い合わせて確認した。こうした作業を通じて、地区の性格や担い手、事業目的を異にする住宅地開発事業の多様な実態に関する知見をさらに深めることができた。 また、学術雑誌『都市住宅学』111号の特集テーマ「縮小社会の公営住宅」において、ドイツ社会住宅制度について紹介するよう、執筆を依頼された。寄稿した論文「ドイツの社会住宅制度-その理念と現実-」では、社会住宅制度の実態が制定当時の理念から徐々に乖離していく過程に触れつつ、本研究でこれまで行ってきてきた現地調査の結果にもとづき、ハンブルクをはじめとする成長大都市圏においてはアフォーダブル住宅の不足が中間所得層をも巻き込んだ状態で益々深刻化したものとなっており、社会住宅の果たす役割が今日もなお重要であることを積極的に評価するとともに、今後の展望を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査がままならない状況ではあったが、文献・資料や公文書類の収集・分析により、ハンブルク大都市圏における都市居住施策に関する最新動向を把握することができた。また、こうした施策がコミュニティレベルの住宅市場や住民構成に及ぼす影響についても、前年度までにインテンシィヴな現地調査を実施してきたアルトナ・アルトシュタット地区をはじめとするアルトナ行政区の再開発事業地区における事業担当者への専門家インタビュー内容を精査した。あわせて、事業の進捗状況、当面する問題点などについては、事業当事者とのメールでの質疑応答を重ねることによって詳細に把握することができた。これらを通じて、本研究課題に関する事業理念と実態、当面する問題点などに関する知見を深めることができた。 また、日独両国は産業構造のリストラクチャリングにともなう既成市街地の再生という共通の課題を抱えており、前年度までの現地調査ならびに今年度の文献調査を通じて得られた情報や収集資料は、論文執筆において活用することができた。 他方、当初の調査計画にて予定していた連邦レベルでの住宅政策の動向については、海外渡航が困難であったために関係機関(ドイツ連邦政府建設・空間整備局BBRほか)への訪問を実施できなかったが、インターネット等を通じて入手できた行政資料をもとに分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の分析対象となる居住施策には、ここ数年新たに施行されたものも含まれており、それらが地区の住宅市場や住民構成に及ぼす影響を如何に評価するかが、解明すべき重要なテーマとなっている。この点に関して、現地調査が引き続き困難な場合は、現地研究協力者や事業担当者とメール等を活用して密接に連絡を取りながら、引き続き事業の進捗状況など、最新情報をフォローしていく予定である。 事情が許せば、あわせて前年度までに調査を実施した更新事業地区で活動している地区再開発協議会や住宅公益企業など、関係団体・住民組織に対する追加インタビュー(オンラインでの実施を含む)を行うこととする。こうした補足調査を通じて、成長都市圏内における地区コミュニティレベルでの居住施策が、中間所得層を包摂する新たな住宅政策パラダイムに基づいて再編されるプロセスと、そのコミュニティへの影響に関する地区間比較分析をさらに深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) これまでの現地調査において複数箇所で行った事業担当者へのインタビュー内容を業者に依頼してテープ起こしする予定で予算を確保していたところ、使用言語であるドイツ語担当者の作業日程確保の都合上、一部が年度内に納品出来ない可能性があったため。 (使用計画) 次年度において、当該年度に実施できなかった事業担当者へのインタビュー内容のテープ起こしを行う際に使用する。
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備考 |
研究代表者がこれまで実施してきた研究プロジェクト(国際学術シンポジウムの記録を含む)、海外学術調査、野外調査実習の概要を紹介。
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