研究課題/領域番号 |
18K01151
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
田原 裕子 國學院大學, 経済学部, 教授 (40282511)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 渋谷再開発 / クリエイティブワーカー / 公共空間 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
令和4年度は企業の出社停止・制限が緩和され、さまざまな調査によると東京のオフィス出社率は平均で6割を超えたといわれている。一方で、リモートワーク・テレワークも確実に定着していることも指摘されている。とくに本研究が対象とする渋谷で働くクリエイティブワーカーについてはコロナ禍以前に比べてワークスタイルが多様化しており、本研究もそうした状況の変化に対応して設計を変更する必要があるが、昨年度は情報の収集等に終始し、クリエイティブワーカーの働き方について、実際に調査を企画、実施することができなかった。 一方、再開発を契機としたコミュニティの変化については、再開発によって創出された公共空間を活用して新たに生まれた地域の祭りを対象として、実行委員会に参加しおもに参与観察の形で調査を進めている。再開発の事業者や自治体が、地域の住民や小規模事業者を主体とする地元に働きかけて彼らの主体的な取り組みを引き出し、近隣の大学も巻き込んで産・学・官・地元の4者一体でまちづくりを進めている実態を調べ、再開発の計画段階から地域のまちづくりの拠点形成のために設置された公共空間に「魂を入れる」のための取り組みを明らかにした。 調査内容の一部は2022年8月に開催されたシンポジウム(日欧ミーティング「渋谷川魂」川のエコヒストリーとスピリチャリティ)で報告したほか、2023年9月に刊行予定の地域学に関する本(共著)に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の柱である渋谷のクリエイティブワーカーの働く場所、働き方についての調査が実施できていない。これは、リモートワーク・テレワークの定着を組み込んで調査内容を再設計することができていないためである。 一方、もう一つの柱である再開発にともなうコミュニティの変化については、再開発によって新たに創設された地域の祭りの実行委員会への参与観察を通じて調査を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
再開発に伴うコミュニティの変化については、現在、対象としている地域団体以外にも渋谷再開発の地域内で調査対象を広げて調査を進めたい。複数の再開発地域を調査することでミクロなエリアごとの状況の違いがコミュニティの変化に及ぼす影響を明らかにしたい。 また、クリエイティブワーカーの働き方、働く場所の現状とコロナ禍による変化について、シェアオフィスや渋谷に立地するクリエイティブコンテンツの事業所などを対象として聞き取り調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたアンケート調査や学会発表のための出張が行えなかったために次年度使用額が生じた。 令和5年度の使用計画は以下の通りである。まず、2つの聞き取り調査を実施する。一つはシェアオフィス等を活用しているクリエイティブワーカーを対象に、業務に必要な設備等に対する専門的な知見を含めて聞き取り調査を実施する(5名程度)。もう一つは再開発エリアにおいてまちづくり活動を行っている団体の主要メンバーに対象に、活動の実態等について聞き取り調査を実施する(5名程度)。これらの聞き取り調査に対する謝礼として30万円(3万円×10人)を予定している。また、再開発によって新たに設けられた共創施設において参与観察と情報収集を行う。そのために共創施設(渋谷スクランブルスクエア内のQWSを予定)の会員となり、施設利用やプログラムに参加する。入会金(1万1千円)、8ヶ月分の月会費22万円(27,500円×2023年6月~2024年1月まで8ヶ月分)そのほか都心再開発やクリエイティブ産業の立地に関する都市地理学の文献(5万円)と消耗品(レーザープリンター用トナー4万円)の購入を予定している。
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