研究課題/領域番号 |
18K01152
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
飯嶋 曜子 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (20453433)
|
研究分担者 |
梶田 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40336251)
山本 充 専修大学, 文学部, 教授 (60230588)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ボトムアップ型農村開発 / ガバナンス / 領域性 / EU / READER-CLLD / INTERREG / アルプス地域 / チロル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヨーロッパのボトムアップ型農村開発を、そのガバナンスと領域性に着目して分析し、その意義を考察することである。調査対象として、周辺農山村として多様な政策の対象となってきたヨーロッパ・アルプス地域を取り上げる。アルプスでは、EU、国、州、県、市町村、さらにはアルプス地域等の多層的な領域において政策が遂行されており、加えて、EUのボトムアップ型農村開発であるLEADER-CLLD事業なども積極的に実施されているからである。 2019年度は、前年度から引き続き、EUおよび国・州の農村開発政策やLEADER-CLLD事業やINTERREG事業に関する基礎的資料の収集、関係する理論や諸政策の整理を進めた。さらに、2018年度に実施した予備調査の結果を踏まえ、2019年8月に研究代表者および研究分担者全員で約10日間の北チロル、東チロル、南チロルでの現地調査を実施し、現地の実態と全体像を把握するように努めた。 今回の現地調査では、現地の関係機関や農家へのヒアリング調査や、農村開発事業の視察を実施することができた。昨年度には赴かなかった地域も視察し、チロルのなかでも農業・農村構造に地域差があることが判明した。また、現地の出版社、大学図書館等での資料収集も行った。 以上の作業によって、次年度に実施する本調査地域と事業をより絞り込むことができ、具体的な調査実施計画の検討と策定が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き2019年度は、次年度以降の本調査の準備として、資料の収集と分析、調査候補地の現地調査を実施した。 まず、主に文献や統計資料の収集と分析を各自が分担して行い、その内容を共有した。飯嶋は、EUおよび国・州の農村開発政策やLEADER-CLLD事業およびINTERREG事業に関する基礎的資料の収集・整理を行った。山本は、EUおよび各国、地方公共団体によるモビリティ確保・拡大のための政策とそれらの相互関係に関する文献資料を収集し整理した。梶田は、当該地域に関する統計資料および地理データの収集・整理作業をすすめた. 8月16日~25日まで、飯嶋、山本、梶田の三名で共同の現地調査を遂行した。昨年度に実施した予備調査の結果を踏まえ、オーストリアの北チロルと東チロル地域、イタリアの南チロル地域、さらにイタリアおよびオーストリアと国境を接するスイスのエンガディン地域を視察した。アルプス農山村の農業・観光業の実態把握に努めるとともに、LEADER-CLLD事業やINTERREG事業、その他のボトムアップ型農村開発事業を視察した。農家へのヒアリング調査も実施し、国境を越えて創設された酪農組合の活動について情報を収集した。また、LEADER-CLLD事業に適用された地域民俗文化博物館を訪問し、地域の情報を収集するとともに、博物館の運営についてインタビューを行った。 こうした作業を踏まえて、次年度の現地調査の候補地となる地域や事業を絞り込むための情報を収集することができた。とりわけ、研究メンバー全員で現地調査を実施できたことで、当該地域への共通理解や認識が深まり、今後の分析や議論の進展がより期待できると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は、2018年度および2019年度で収集した資料やデータの整理・分析を引き続き行う。また、二回の現地調査で得られた情報を精査し、課題を整理したうえで、ボトムアップ型農村開発の具体的な事業を取り挙げ、LEADER-CLLD事務局や、ローカル・アクション・グループ(LAG)を中心に、事業に関わる多様なアクターへのヒアリング調査を実施する。 こうした作業によって、ボトムアップ型農村開発のガバナンスの実態の解明を目指すとともに、その領域性について検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2019年8月の現地調査において、日程上の都合から、飯嶋が旅費として往復の航空券代を請求しなかったため、当該助成金が生じた。翌年度は予定通り現地調査を実施する際に、航空券代の支出も必要となる。
|