研究課題/領域番号 |
18K01153
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
駒木 伸比古 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (60601044)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 立地適正化計画 / 線引き / 都市構造 / 誘導区域 / 空間構造 / コンパクトシティ / 中心市街地活性化基本計画区域 |
研究実績の概要 |
2018年度に引き続き,2019年度も都市計画・建築学・地理学分野を中心として,立地適正化計画やコンパクトシティに関する先行研究サーヴェイを行い,論文データベースを拡充した。その結果,立地適正化計画やコンパクトシティに関する研究成果は多くみられるが,その「線引き」がどのような根拠によって設定されたか,について注目した研究はほとんどみられないことが明らかとなった。 また,2019年度に実施した都市機能誘導区域・居住誘導区域の区域設定状況に基づく階層性・空間構造に注目した分類結果をブラッシュアップさせるとともに,日本全国スケールにおける分布特性の考察を行った。その結果,空間構造として最も卓越していた「自治体内の複数の誘導区域を持ち,中心となる誘導区域が存在し,核となる都市誘導区域を持たない誘導区域が存在する」というパターンは,地理的な偏りがなく全国的に分布しいること,「自治体内の誘導区域は一つであり,核となる都市誘導区域が複数存在する」というパターンはそのほとんどが大都市圏内に分布していること,などが明らかとなった。 また,本年度は中心市街地活性化法に基づく「中心市街地活性化区域」にも注目し,その小売業の集積動向およびテナントの募集動向についても検討した。その結果,多くの都市で事業所数,従業員数,年間販売額,売場面積といった主要な指標は減少し,中心市街地における小売業衰退および郊外への分散化が進行している。またこうした実態はテナント物件の募集条件にも反映されており,都市の人口規模や物件の立地条件によって,賃料や駐車場などの募集条件に明瞭な差が存在していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は2018年度の分析結果をブラッシュアップさせ,国際学会(第14回日韓中地理学会議)でも発表することができた。また,学会・研究会の場で,立地適正化計画に関する分析視点や利用指標などの意見交換を行うことができた。 また,立地適正化計画に関する文献データベースについても,拡充することができた。 ただし,年度末に計画していた誘導区域の設定に関する自治体へのヒヤリングについては,COVID-19の発生などもあり,行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
立地適正化計画の区域設定に関するデータベースを基に,都市機能・居住機能に関連する指標により都市分類を行う。さらに対象を「中心市街地活性化基本計画区域」に広げる。また,整備した区域のGISデータを利用し,その線引きの根拠に基づく特性に関する分析・考察を行う。 なお,自治体へのヒヤリングについては,COVID-19の状況を見ながら実施を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた自治体へのヒヤリングなどが行えなかったため。また,誘導区域のGISデータ作成についても学生アルバイトを予定していたが,区域の複雑さなどから進捗が芳しくなかったため。 したがって,2020年度は,2019年度に予定していたヒヤリングを実施する(ただし,COVID-19の状況をみながら計画していく)。なお,学生アルバイトについてはCOVID-19の状況により春学期期間中は実施が不可能であり,秋学期以降にスライドさせる。
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