研究課題/領域番号 |
18K01156
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60252748)
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研究分担者 |
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 客員教授 (10460338)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 風水地理思想 / 伝統的地理思想 / 吉地 / 東アジア / 韓国 / 農書 / 水口 |
研究実績の概要 |
本年度は、風水地理思想をはじめとした東アジアの伝統的地理思想において、いかなる場所が「吉地」とされるのかについて、前年度に行った各種文献や用語の検討に基づいて、韓国(朝鮮)における「吉地」の調査検討を行った。5月(沖縄)、7月(名古屋)に実施した研究会を通じて、韓国においては、朝鮮時代後期の実学者たちにより、風水地理思想などを基盤としながら『択里志』のような地理書、『山林經濟』等の農書類にも「居住環境の良い場所」の具体的な条件が示されるなど、本研究の対象地域の中では「吉地」についての研究の手がかりとなる資料の多い地域であることが理解された。 代表者の澁谷は、韓国の研究協力者である崔元碩氏(慶尚大学校慶南文化研究所)の、韓国の風水地理思想における「吉地」論文2種について一部翻訳を行った上で、8月に韓国・慶尚大学校に赴き、崔元碩氏と研究課題について議論を行うとともに、河東青鶴洞など韓国南部の「吉地」モデルにおける現地調査を実施した。その後1月には補足資料調査のため、韓国国立中央図書館に赴いた。また昨年度も実施したが、風水地理思想以外の論理による「吉地」「非吉地」概念と目される、長崎県対馬における天道信仰と「シゲ地」について、研究分担者の浦山と再度の現地調査を実施した。 ここまでの現地調査や研究活動を基に、代表者の澁谷が6月には歴史地理学会大会において「朝鮮時代の農書に見る相宅の条件」を、3月の日本地理学会学術大会においては「韓国における「白頭大幹」の評価と「脈」の論理」を発表した。また論文「朝鮮時代の地誌と地理書にみる「水口」概念」を著した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、やや時間を取られていた朝鮮王朝時代の漢籍資料と韓国語論文資料の読解・分析が進み、研究分担者・協力者の助力もあり、比較的スムースに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、昨年度実施した韓国(朝鮮半島)における風水地理思想を中心とした伝統的地理思想における「吉地」の様相に関する調査研究の成果を発表するとともに、それを切り口としつつ、同様にして沖縄地域における「吉地」の様相について明らかにしたい。研究作業としては、「首里地理記」「三府龍脈碑文」など琉球王朝期の風水関連の重要な文章の読み直しと、それに基づく現地調査を主として沖縄本島と八重山諸島において実施する。 なお、新型コロナ感染拡大の影響で、現状では研究会開催や現地調査が難しい状況である。今後の推移によっては、文献研究に切り替えるなどの変更を行う可能性もある。
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