研究課題/領域番号 |
18K01160
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
渡辺 和之 阪南大学, 国際観光学部, 准教授 (40469185)
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研究分担者 |
橘 健一 立命館大学, 政策科学部, 非常勤講師 (30401425)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 交易 / ネパール / インド / バングラデシュ / 畜産物 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ネパールからバングラデシュに至る畜産物の交易の実態を把握することで、異宗教間の関係について明らかにするものである。 当初の研究実施計画では、初年度は、バングラデシュの犠牲祭に伴う畜産物交易を明らかにすることで、ヒンドゥー教が多いネパールやインドからイスラーム教徒の多いバングラデシュにどのように家畜が流通するのかを調べることとした。これにのっとり、2018年度は、バングラデシュを訪れ、おもに次の4点に関して調査をおこなった。①バングラデシュの犠牲祭において、ネパールやインドからの家畜がどのように流通するか把握するため、インド・バングラデシュ国境の家畜市に調査に行った。②農民が犠牲祭の家畜を飼養するかを把握するため、農村地域の家畜市の調査をおこなった。あわせて農村地域で家畜の増減を把握するため、所有する家畜頭数の調査をおこなった。③バングラデシュにおける皮革業を把握するため、ダッカ郊外の工場と農村地域で調査をおこなった。④バングラデシュの定期市における家畜の流通と先住民の家畜利用を把握するため、農村地域の定期市で調査をおこなった。 結果的として、ネパールやインドからバングラデシュへやってくる家畜は、もともとそう多くはなく、農村地帯ほどバングラデシュ国産の牛を犠牲祭に使っていることがわかった。また、近年、ヒンドゥー至上主義を掲げるインドと国内農民保護を訴えるバングラデシュの国策によって畜産物の輸入が規制され、少なくなっていることもわかった。ただ、国産牛のなかにもネパールやインドの牛の血が混じっていると思われるものもあった。 これは両国の畜産物交易がそれぞれの宗教的なナショナリズムの影響を受けつつも、現場では両者が交易を通じて関わりながら共存している点で意義があり、両者の共存を考えゆく上で重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は順調に進んでいる。ただ、インドとバングラデシュにおける家畜交易に関する国レベルの規定について調べる必要が見えてきた。この点が当初の計画と状況が少し変わった点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は以下の4点に留意しておこなう。 1.ダッカの中央家畜市場。家畜交易の取引記録を入手する(渡辺、シャキール)。 2.インド側の西ベンガル州で家畜の交易に関する調査をおこなう(渡辺、シャキール)。 3.インドとネパールで先住民の家畜利用(橘)。 4.アジア経済研究所を訪れ、インドとバングラデシュの家畜交易に関する規制状況を、現地の新聞記事を用いて調査する(杉江、渡辺)。
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次年度使用額が生じた理由 |
バングラデシュの新聞記事を収集するため、東京のアジア経済研究所へ出張する必要が生じたため、次年度にその予算を残しておいた。
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