研究課題
基盤研究(C)
近年の海や湖を泳いで周辺の島に分布拡大するイノシシについて、泳ぐ背景、このようなイノシシへの対応について検討した。調査を実施した唐津市の加部島、瀬戸内海の大崎下島・岡村島・小大下島、琵琶湖の沖島では岸辺周辺が繁殖や子育ての適地となっていることが分かった。岸辺周辺で繁殖したイノシシの分散、繁殖期のオスの広域移動、猟期の狩猟圧などによって周辺の島に渡るイノシシが発生していると考えられ、このような点に留意した対応を図る必要がある。
生物地理学
イノシシが泳ぐ背景について、特に岡村島・小大下島周辺で、定期船の船員、ハンター、住民からの情報と共に、自動撮影カメラにより泳ぐイノシシの動画撮影に成功して分析を進めることができた学術的意義は大きい。泳ぐイノシシの実態と対策についての啓発は、県や市町村レベルの担当者、猟友会、島の駆除担当者・区長・住民などとの情報交換や協同活動を通じて随時行った。さらに、作成した資料や報告書を環境省・農林水産省はじめ各関係機関に配布し、狩猟雑誌・新聞・テレビの取材への情報提供による啓発も行った。