研究課題/領域番号 |
18K01166
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
大坪 玲子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (20509286)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イエメン / 移民 / 嗜好品 / カート / 違法薬物 / ムスリム |
研究実績の概要 |
本研究は2018年度はイギリスとオランダで、2019年度はドイツで、カートと他の嗜好品のあり方について調査した。ヨーロッパにおけるカート研究はソマリア系難民・移民を中心に進められてきたため、イエメン系移民の実態が解明されてこなかった。イエメン系移民はヨーロッパにおいて違法薬物であるカートを熱望しない傾向にあるが、それは単に違法だからという理由だけでなく、イエメンとヨーロッパでは生活習慣が異なることがカートのない生活を受け入れている原因であることが明らかになった。アルコール飲料は合法であるが、カートの代替品にはなっていない。以上の特徴を踏まえ、2020年度はアラブ首長国連邦におけるイエメン系移民と嗜好品の調査を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で調査を断念し、研究期間を延長している。 2021年度は『嗜好品から見える社会』(春風社)を共編で出版することができた。これは日本文化人類学会課題研究懇談会「嗜好品の文化人類学」(2016-2022年度)、国立民族学博物館中東地域研究拠点、国際共同研究加速基金「ポスト・アラブの春時代における中東ムスリムのグローバル移動と社会関係の複合的再編」との共催で実施した「境界を楽しむ:中東・イスラーム世界の嗜好品」(2021年)の成果でもある。同書の「序論」では従来の嗜好品研究を批判検討し、今後の嗜好品研究の可能性を論じた。また『季刊民族学』に「特集嗜好品」を企画し、第180号として刊行された。これに加えて『嗜好品文化研究』に「カートを噛みながら:人類学とインタビューと嗜好品」においてイギリス、オランダ、ドイツでの調査結果の一部を発表した。 現地調査は新型コロナウィルスの感染拡大のために実施できなかったが、インターネットを使った情報収集に努め、これまでの調査データと合わせ分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大のために現地調査ができなかった。しかし成果の公表と調査データの整理・分析に時間をとることができ、今後の調査につながる準備をしている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響がいつまで続くのか判断が難しい状況ではあるが、アラブ首長国連邦での調査の準備を進め、これまでの調査と資料のデータを整理し、カートを発端とする「文化摩擦」が移民社会に何をもたらしたのかということを明らかにする。また新型コロナウィルスの感染拡大によって嗜好品のもつ意味があらためて問われている。嗜好品とそれがもたらす社交の変化についてもあわせて調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で現地調査が実施不可能になった。次年度の調査費に充てる予定である。
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