研究課題/領域番号 |
18K01171
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平野 美佐 (野元美佐) 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (40402383)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 貨幣 / 交換 / 沖縄 / 宮古島 / 祝儀 |
研究実績の概要 |
宮古島市で調査調査を行い、祝儀の場や日常生活(模合等)で行われる貨幣やモノのやりとりについての聞き取り、観察、資料収集を行った。 本年度の研究成果報告は以下のとおりである。 ①2018年8月27日に、沖縄県那覇市のNPO「愛さん会」の研修会に講師として招へいされ、「沖縄における親睦模合と相互扶助:模合で繋がり助け合う人との絆」というタイトルで講演を行った。本科研の主要な研究対象の一つである「模合」と、それによって結ばれる繋がりについて論じた。この講演では、那覇市役所や市民の方々と、模合を通じて「繋がり」の場をつくることに関する意見交換ができ、実践的な意義をもつことができた。 ②2019年1月22日には、尼崎市中小企業センターにおいて開催された「阪神シニアカレッジ」の講師として、「カメルーンと沖縄の比較研究:トンチンと頼母子講」というタイトルで講義を行った。ここでは、アフリカと沖縄の模合を比較し、その本質的な意味を論じた。研究成果を披露するとともに、年配の方の模合(頼母子講)の体験を知ることができ、日本の貨幣の交換についての貴重なデータを得ることができた。 ③2019年3月13日には、フランスの社会科学高等研究院(EHESS)パリ日仏財団の講演会の演者として、「Mutual Aids and Money: Comparative Studies of Rotating Savings and Credit Associations (ROSCAs/Tontine) of Cameroon and Okinawa, Japan」というタイトルでEHESSパリにおいて講演を行い、さまざまな国籍の研究者と議論を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年の宮古島市における現地調査において、祝儀の場や日常生活(模合等)で行われる貨幣やモノのやりとりについての聞き取り、観察、資料収集を行った。また、宮古島の離島である池間島において開催された「ミャークヅツ」祭礼に参加し、ハレの場における現金やモノのやりとりを参与観察した。 それらの調査により、研究目的を達成するために三つに分けた項目のうち、「歴史的変遷」、「現在の実践」の二つについて、研究を進展させることができた。よって、研究が順調であると判断する。 現在、古い祝儀についての新聞調査や聞き取りの成果を、投稿論文としてまとめつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も、2019年8月と2020年3月に、宮古島市で現地調査を行う予定である。 沖縄文化協会が発行している『沖繩文化』に、宮古島の子どもの祝儀に関連する論文を投稿予定である。また、6月29日、30日に沖縄国際大学で行われる「沖縄文化協会2019年度公開研究発表会」において、「宮古島における子どもの祝いの発展とその背景:小学校入学・高校合格・成人祝いをめぐって」というタイトルで発表を行うことが決定している。沖縄において研究発表を行うことで、沖縄の研究者との有益な意見交換が期待できる。 また、5月18日、19日に行われる日本アフリカ学会(京都精華大学にて開催)に出席予定し、貨幣の交換について人類学者と意見交換を行う予定である。
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