研究課題/領域番号 |
18K01171
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平野 美佐 (野元美佐) 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (40402383)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 貨幣 / 交換 / 沖縄 / 宮古島 / 祝儀 |
研究実績の概要 |
今年度も引き続き、宮古島市を中心に現地調査を行い、祭り、祝い、日常生活(模合等)で行われる貨幣やモノの贈与・交換について参与観察、聞き取りを行った。具体的には、宮古島の離島である池間島で毎年行われている「ミャークヅツ」という成人男性の祭りに参加し、そこでの贈与や交換について調査を行った。ミャークヅツでは、全国から人が集まり、泡盛や女性親族によって料理された食品が大量に集まり、朝から夕刻まで3日間、男性と客人が共飲・共食を繰り広げる。最後は広場の踊りで一日が締めくくられる。このミャークヅツでのやりとりは、本研究課題にとって重要なデータである。また、池間島の女性の米寿祝いにおける貨幣とモノのやりとりについても、詳細な調査を行った。加えて、宮古島市で行われた「日本島嶼学会」に参加し、島嶼研究者と情報交換を行った。宮古島市と那覇市の図書館において、資料収集も行った。 2019年度の研究成果の報告は、下記のとおりである。 ①2019年6月29日、30日、沖縄国際大学で行われた「沖縄文化協会2019年度公開研究発表会」に参加した。30日に「宮古島における子どもの祝いの発展とその背景:小学校入学、高校合格、成人祝いをめぐって」というタイトルで研究発表を行い、多くの研究者と情報交換、意見交換を行った。 ②2020年1月14日には、宝塚市の「兵庫県阪神シニアカレッジ」の講師として、「カメルーンと沖縄の比較研究:トンチンと頼母子講」というタイトルで一般市民向けに講義を行った。 ③2019年10月17日には、立命館大学の「文化人類学入門」のゲスト講師として、本研究の成果の一部について、学生向けに講義を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまでのところ、調査研究は順調に進展している。2019年の宮古島調査においては、昨年に引き続き、ミャークヅツという池間島の祭りについて詳細に調査を行った。このミャークヅツの年齢組に初めて参加する人は「新入生」と呼ばれ、人々は「新入生」の家に祝儀(貨幣)をもって祝いにやってくる。新入生の家ではその客人をもてなす宴会が続く。このような祭りにおける貨幣の贈与・交換の分析は、本研究課題の目的達成のためには重要であり、現在、これらの調査データの分析とまとめを行なっている。 ただ、3月にも調査地である宮古島にて20日間程度の現地調査を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大があり、現地に行くことがかなわなくなった。今後、いつ調査に行けるかについて、予断を許さない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、夏には宮古島における3週間以上の現地調査を予定しており、祝儀帳などの資料収集、贈与・交換に関する聞き取りを行う予定である。しかし現在、新型コロナウイルス感染の影響により移動が困難で、予定通りの現地調査ができない恐れがある。その場合には、これまでの調査データをさまざまな角度から分析したり、新たに資料や文献を集めてそれを読み込むなどして、研究を推進させる。成果発表として、論文執筆も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2020年3月に、20日間ほど宮古島に現地調査と資料収集に行く予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大のため、それがかなわなくなったため。 (使用計画)2020年度も、沖縄本島や宮古島への旅費を計上している。新型コロナウイルスの感染が緩み、沖縄県への移動、滞在が問題なくできるようになるかどうかによって、使用計画が大きく変わる。旅費として使えない場合には、資料や文献などの購入費にあてる予定である。
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