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2018 年度 実施状況報告書

開発と地域住民によるローカリティとアイデンティティの再編に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01172
研究機関神戸市外国語大学

研究代表者

中田 友子  神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (50508398)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードゴム・プランテーション / 生業 / 村落コミュニティ / 保護林
研究実績の概要

2018年度は7月にIUAES(International Union of Anthropological and Ethnological Sciences)のWorld Congress(於フロリアーノポリス、ブラジル)に参加し、"Negotiating Development:locals' everyday practices in the face of large-scale plantation and dam construction projects"というタイトルで発表を行った。
12月にラオス、バチアン郡でフィールドワークを行い、例年どおり世帯調査を実施するとともに、住民にインタビューを行い、さらに保護林のそばへ出かけて観察を行った。その結果、ゴム園労働を辞めていた若者たちが、タッピングの研修を受けなおし、ゴム会社に再雇用されていることがわかった。これはゴム会社を解雇され、安定した職に就けない若者が多数いることを問題視した村長がゴム会社にかけあって、実現したものとのことだった。その一方で、保護林として開墾を禁止されている場所がゴム植林が開始されてから数年後、複数の村の住民たちによって開墾され、農地として利用されていることは以前から把握していたが、今回、その場所へ行ってみると、保護林との境界をなしている小川に橋がかけられているのを発見した。その橋は複数の村の、保護林を利用している人々が共同で作ったものだとのことだった。ゴム園労働が地域に定着しつつある一方、リスクを冒しつつ農業を継続するという全く逆の動きが地域住民の間にあることが判明した。村落内で生業に関し、こうした二分化が今後も進んでいくのか、その場合、村落内の社会関係にどのような影響がもたらされるのか、継続して見守っていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

調査は予定通り、順調に実施できている。1回につき10日間ほどの滞在期間中に、世帯調査を行うとともに、住民にインフォーマル・インタビューを行ったり、日常的な会話を通して、彼らの考え、意識等についてもデータを蓄積できている。今回、かつて焼畑があった場所を訪れたことは大変、重要であった。というのは、住民たちの会話には出てこなかった橋の存在を確認できたからだ。この橋は、ゴム園労働に従事する人々にとっては関わりのないものであり、また保護林へと結ぶものであるため明らかに違法といっていいだろう。そのため、現地へ行かなければおそらく知ることができなかったと考えられる。この存在を発見したことで、表面的にはゴム園労働が定着しつつあると思われる地域社会で、全く異なる動きがあることがわかり、より複雑な現実を把握できたと思う。
ブラジルでの国際会議に参加し、開発関係のパネルで発表したこともよかった。特に同じ関心をもつ研究者と出会い、今後も継続的に意見交換が期待できる。

今後の研究の推進方策

フィールドワークを今までと同様、実施する。内容はこれまでと同様、世帯調査とインフォーマル・インタビュー、観察が中心である。ただ、今年度は収穫儀礼の時期に調査ができればと考えている。というのは、ゴム園労働と農業とに住民の生業が二分化する動きが顕著になりつつあるなか、収穫儀礼が今も村で行われていると聞いているが、どのように実践されているかを知る必要があると考えるからである。
今年度はまた、ポーランドで8月に開催予定のIUAESの会議に参加し、発表する予定である。
さらに、これまでの研究結果をまとめ、論文を執筆し、投稿したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Negotiating Development: locals' everyday practices in the face of large-scale rubber plantation and dam construction projects2018

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Nakata
    • 学会等名
      IUAES
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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