2022年度は、2回フィールドワークを行った。その前に、ラオスでの調査研究協力機関であるラオス国立大学(以下、NUOL)社会学部との研究協力に関する契約が2021年末に終了したため、あらたに2022年度からの契約を結んだ。その際NUOLから、教育省と外務省に調査許可を申請するために事前にラオス側の担当者が現地へ赴き、地方当局に調査に関する説明をし、交渉を行う必要があるとされたため、これを実施するよう依頼し、最終的には調査許可を得ることができた。 フィールドワークは9月と12月にそれぞれ約10日間行った。NUOLに所属するリサーチアシスタントの協力のもと、9月は主に世帯調査を実施した。コロナ禍により、2年半余りのブランクがあったため、この間に起こった生業や経済状況、各世帯の変化等を把握すべく聞き取りを行った。その結果、ゴム園での労働に従事している住民の数は若干、減少しているようだったが、その一方でキャッサバ栽培を始めた世帯が大幅に増加していることがわかった。ゴム園離れは、コロナ禍以前から少しずつ見られた現象だったが、キャッサバ栽培はここ数年で飛躍的に増加しており、それはキャッサバの価格の上昇が主な原因だと考えられる。 12月のフィールワークでは、9月の結果をもとに、さらにキャッサバ栽培の状況についてより詳しく聞き取りや観察を行い、キャッサバについては数年前に設立されたキャッサバ組合という組織にも聞き取りを行った。調査村ではこのキャッサバ組合に加盟している世帯はないが、なぜキャッサバがチャンパ―サック県だけでなく、近隣他県にも広がっているのかといった疑問にも答えてもらえた。基本的に、キャッサバはゴムよりも世帯が自主的に栽培を開始し、様々な制約や圧力がないこと、さらには価格の上昇が顕著であり、より多くの収入が見込めることなどが重要な要因となっていることが判明した。
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