研究課題
2018年度から当初3年間の予定で発足した本研究は、2000年度からの新型コロナウイルス蔓延による種々の制度的制約を受けて研究遂行が阻害され、最終的に2年間の延長の結果、2022年度が最終年度となった。当最終年度では、7月と2月に1週間から旬日程度のマレーシア・サラワク州への調査研究旅行を行い、現地の研究機関・研究者との協議を経て、本研究のとりまとめの方向性を確定し、同時にごく短期間の調査地再訪を果たした。サラワク州においては直近3年間、数度にわたって強度の移動制限令が施行されており、この間の現地研究者の活動もきわめて制約されたものであったが、山間部調査地におけるワクチン接種状況などに関しての調査が行われたとの情報を得た。調査地においてはロングハウスの修繕改築が着実に進んでおり、これに関してはコロナ禍はまったく影響を及ぼしていないことが確認された。本研究の成果は英文論文として、現地の文化研究財団の機関誌に投稿の上、発表することが財団代表者との協議で合意された。本研究の期間全体にわたる成果として、サラワク州の各地方に在住するイバン人の現代化された集住ロングハウスを20軒以上観察し、そのうち4軒については一定の深度と数値をもったデータを得ることが出来た。実際にこの観察数ではサラワク州の全土にかけてのロングハウスの現代化にともなう諸現象、社会的背景を分析するには不十分であるが、聞き取り調査にもとづく住民の主観的認識を描くことは可能である。調査期間中は同時に古い型のロングハウスに関わる回想的知識を収集することにも努めた。これによって、イバン人の集住形態の長期にわたる安定傾向と地域的変異を追究しえた。その成果は上記財団機関誌上で公開する予定である。
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文化人類学
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