本研究の成果として、サラワク州の各地方に在住するイバン人の現代化された集住ロングハウスを20軒以上観察し、そのうち4軒については一定の深度と数値をもったデータを得ることが出来た。実際にこの観察数ではサラワク州の全土にかけてのロングハウスの現代化にともなう諸現象、社会的・経済的背景を分析するには不十分であるが、聞き取り調査にもとづく住民の主観的認識を描くことは可能である。調査期間中は同時に古い型のロングハウスに関わる回想的知識を収集することにも努めた。これによって、イバン人の集住形態の長期にわたる安定傾向と構造に関する地域的変異を追究しえたことになる。
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