• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

国内避難民となった先住民のライフヒストリーからみる平和構築と植民地主義の関係

研究課題

研究課題/領域番号 18K01176
研究機関成蹊大学

研究代表者

細谷 広美  成蹊大学, 文学部, 教授 (80288688)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード先住民 / オーラルヒストリー / アンデス / ペルー / 国内避難民 / ケチュア / 法人類学 / 記憶
研究実績の概要

新型コロナウイルスの影響により、ペルーでの現地調査ができなかったため、国内で文献研究を実施するとともに、ZOOMやSNS、Eメールを通じてのインタビュー調査、ネットを通じての情報収集をした。現地調査ができないことの影響は非常に大きかったが、他方で世界共通の現象であるが故に、海外の研究機関がZOOM等を通じてオンラインシンポジウム、講演会等を実施したため、今まで行くことが難しかった国内外の研究機関等に、物理的距離に関係なく容易にアクセスできるようになるというメリットもあった。なかでもペルーの暴力の時代の記憶を扱った「記憶の場:社会的寛容と包摂」(LUM) 博物館では、活発にシンポジウム、講演会、ドキュメンタリー映画の上映がおこなわれ、14時間の時差はネックではあったが様々な資料収集をすることができた。
日本文化人類学会第54回研究大会で「紛争後の「場」を生きることの人類学ー「真実」とリアリティをめぐる試論」というタイトルで発表をし手応えがあった。全米ラテンアメリカ学会でパネル発表をする予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となった。また、アマゾン・アンデス学会で、アルゼンチン/フランス出身でペルー在住のセバスティアン監督に依頼し、ペルーの紛争と記憶をテーマにしたドキュメンタリー映画のオンライン上映をした。
研究成果の出版、刊行物として、紛争時に政府軍と反政府組織「ペルー共産党:センデロ・ルミノソ」の攻撃を受け、村自体が消失した先住民村に関するオーラル・ヒストリーの分析と、裁判を通じての非先住民世界との関係を論じた論文を刊行した。
また、『ラテンアメリカ文化事典』(丸善書店)の編集に携わり、国際社会におけるラテンアメリカの先住民の位置づけと近年の動向、先住民宗教、政治的暴力を扱った映画に関する項等を執筆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、ペルーに渡航することができず現地で調査研究を実施することができなかったため。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、かつ現地の感染拡大状況に改善がみられた場合は、感染予防とウイルスを持ち込まないことに細心の注意と対策を講じたうえで、ペルーでの現地調査を実施する
紛争時代の影響は、社会のなかで最も脆弱な層である先住民への影響が大きかった。同様に、現在感染が拡大している新型コロナウイルスは、先住民の人々の間において最も深刻な影響を及ぼしている。なかでも、国内避難民として都市部に移住した人々が形成した貧困地区、また帰還した国内避難民が再建したアンデス山岳部の先住民村は、医療サービスが極めて乏しいなか深刻な状況にある。感染拡大を防ぐために再度自警団が銃を手にし、軍隊が出動しているという情報も得ている。現地では紛争時代と比較し、「新たな闘争」とする議論も生まれている。このため、紛争下で国内避難民となった先住民の人々のライフヒストリーに焦点をあてつつ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響との比較も視野に入れて調査研究していく。
国内の新型コロナウイルスのワクチン接種が進展せず、かつペルーの感染状況が改善せず渡航ができなかった場合は、文献調査をおこなうとともに、引き続きZOOMやSNS等を活用してのインタビュー調査、ネットを通じての資料収集を実施していく。日本語、英語、スペイン語で論文執筆、学会発表をすることを通じて研究成果を公表していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

ペルーで調査研究を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、渡航することができなくなったため。また、国際学会で成果発表をする予定であったが、新型コロナウイルスの影響により開催が流れたため。
ワクチン接種がおこなわれ、新型コロナウイルスへの感染対策をとることが可能になった場合は、ペルーに渡航し調査研究を実施する。そのために旅費(航空運賃+宿泊費)を使用する。また①現地でのフィールドワークにおける調査助手②録音したインタビューの文字起こし③ケチュア語からスペイン語への翻訳等を依頼するため、謝金を使用する。さらに、調査研究の成果公表として外国語論文を執筆する際の外国語校閲の費用として用いる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Lugar de Memoria/Instituto Frances de Estudios Andinos(ペルー)

    • 国名
      ペルー
    • 外国機関名
      Lugar de Memoria/Instituto Frances de Estudios Andinos
  • [国際共同研究] AV2Media Films(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      AV2Media Films
  • [雑誌論文] 「バルガス・リョサ委員会」と先住民のその後―ウチュラハイ事件の裁判とオーラル・ヒストリー2021

    • 著者名/発表者名
      細谷広美
    • 雑誌名

      成蹊大学文学部紀要

      巻: 第56号 ページ: 145-199

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 紛争後の「場」を生きることの人類学 ー「真実」とリアリティをめぐる試論ー2020

    • 著者名/発表者名
      細谷広美
    • 学会等名
      日本文化人類学会
  • [学会発表] Sebastien Jallade監督NADA QUEDA SINO NUESTRA TERNURA紹介・オンライン上映2020

    • 著者名/発表者名
      細谷広美
    • 学会等名
      アンデス・アマゾン学会
    • 国際学会
  • [図書] ラテンアメリカ文化事典2021

    • 著者名/発表者名
      ラテンアメリカ文化事典編集委員会(細谷広美)
    • 総ページ数
      741
    • 出版者
      丸善書店
    • ISBN
      4621305859

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi