研究課題/領域番号 |
18K01176
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
細谷 広美 成蹊大学, 文学部, 教授 (80288688)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 先住民 / 先住民族 / アンデス / オーラルヒストリー / ペルー / 植民地主義 / 平和構築 / 国内避難民 |
研究実績の概要 |
ペルーで調査研究を実施することを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大のため海外調査を実施することができなかった。このため、文献研究を中心に実施した。一方で、国際学会、海外の研究機関が実施するシンポジウム等の多くがオンライン開催となったため、日本から参加することが可能になった。なかでも「El Lugar de la Memoria, la Tolerancia y la Inclusion Social (LUM)(社会的包摂、寛容、記憶の場博物館)」 は、シンポジウムや紛争時代を扱った映画上映など活発な活動を展開していた。同博物館は、ペルーの紛争時代に関する展示を扱う国立の記憶の博物館で、真実和解委員会の調査データ等をアーカイブしている。このため、LUMのオンライン活動、アーカイブを通じて資料収集をした。 ペルーは人口比あたりの死者数が世界最大規模となっただけでなく、国内避難民として首都リマに移住した先住民の多くは、貧困地区に居住しインフォーマルセクターとして日雇いや非正規の仕事に従事している。このためロックダウンの影響を直接受け困窮した。現地の様子がなかなかつかめないなか、SNS等を通じて資料収集をした。さらに、Edilberto Jimenez氏が新型コロナウイルスの流行下、ペルー国内をリマからアンデス、アマゾンまで歩き、多様な社会階層の人々にインタビューした記録を線描画とともに出版し送って下さった。新型コロナ感染拡大下での市井の人々の姿を伝える貴重な資料となっており分析を進める。 メキシコで発行されている学術雑誌の招待論文、ゲリラと政府軍双方の少年兵となった人類学者のオートエスノグラフィーの書評を刊行した。また、日本ラテンアメリカ学会でのパネル発表、ペルー建国200周年を記念したペルー映画祭の開催の手伝いをした。英語及びスペイン語で論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、ペルーでの現地調査ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は海外調査が可能になりそうなので、ペルーで現地調査研究を実施する。リマ及びアヤクチョ県でインタビュー調査を実施するとともに、文献調査をおこなう。可能であれば新型コロナウイルス感染拡大下での国内避難民の人々の経験も視野に入れたい。 Latin American Studies Association(LASA)で、海外の研究者とともにアーカイブをテーマとして扱ったパネル発表"Fracturing Events and their Archives: Mass Death or Making Political Community in Peru’s Ongoing Aftermaths" をおこなう。また、日本文化人類学会年次大会で発表をする。ペルーの紛争とその後の先住民の人々の経験を扱ったドキュメンタリー映画の字幕監修をする。本研究の成果として日本語、スペイン語、英語で論文を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウイルスの感染拡大により、研究計画に含まれていたペルーでの調査研究を実施することができなかったため。 使用計画:次年度は海外調査が可能になりそうなのでペルーで調査研究を実施する。リマ、アヤクチョでインタビュー調査をおこなうとともに、文献調査をする。また、国際学会Latin American Studies Associationで海外の研究者とともに、紛争に関するアーカイブをめぐる課題を論じるパネル発表をする。
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