研究課題/領域番号 |
18K01177
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
野口 久美子 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (00609571)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アメリカ先住民史 / カジノ / 経済発展 / 部族自治 / 文化復興 / 貧困 |
研究実績の概要 |
カジノ産業は部族自治に根差した経済活動であり、本研究課題には保留地での現地調査が不可欠である。しかし三か年計画で実施する本研究課題の後二年間はコロナ禍によって実地研究の延期を余儀なくされた。研究期間延長申請によって四年目となった本年度は、現地調査の機会も得て、二年目の課題「インディアンカジノ時代の部族、州、連邦間のパワーバランスに関する実態調査」と三年目の課題「カジノ産業と地域・国家的な先住民復権運動に関する実態調査」に取り組んだ。またコロナ禍の先住民保留地に滞在し、実施調査をする機会を得たことによって、本研究計画作成時には予期しなかった、コロナ禍とカジノ産業の経済的打撃に関する調査も、上記の二つの課題に沿う形で取り入れることができた。2021年度中は先住民保留地でクラスターが頻発する事態にも対応を迫られたが、現地に滞在しながらも、オンラインでのインタビュー調査にシフトできたことにより、当初予定したより、むしろ広範囲にわたる参加者を募ることもできた。以上の研究成果は、部族成員や保留地職員との情報交換などによってコミュニティレベルで還元したことに加え、「アメリカ先住民の貧困と自己責任論―セルフ・デタミネーションと部族自治の罠」『大原社会問題研究所雑誌』762号 (2022年4月号)や「北米アメリカ先住民社会の現在」(梨の木ピースアカデミー・コース15、2022年5月13日講義)などで同時並行的に報告し、また2022年6月4日に開催されるアメリカ学会年次大会シンポジウム報告「コロナ禍の先住民コミュニティ―「不可視化」の暴力といかに戦うか」で報告予定である。また、カジノ時代の理解に不可欠なアメリカ先住民史概説として『よくわかるアメリカの歴史』(2021年6月刊行)にも分担執筆者として参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
三か年計画で実施する本研究課題の後二年間はコロナ禍によって実地研究の延期を余儀なくされた。研究延長申請をして四年目となる本年度は、本研究代表者のサバティカル期間と重なり、幸い十分な現地調査の機会を得ることができた。研究代表者は2021年10月1日より2022年3月1日までアメリカに滞在し、2020年度、2021年度に予定していた現地調査期間にあてた。この間、当初予定していた調査プログラム、特に図書館や資料館調査、インタビュー調査を進めることができた。オミクロンの感染拡大期と重なりながらも、オンラインでのインタビュー調査を取り入れたことにより、調査の遅れを防ぐことができた。一方で、オンラインでのインタビューに参加できなかった人々への調査と、コロナ禍で閉鎖中であった特定の史料館(レーガン博物館や国立公文書館サンブルーノ)の調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、一部のインタビュー調査と、閉鎖中の史料館での調査が実施できなかったことで、やや研究の遅れがみられる。この度、科研調査期間の延長申請を提出し、2022年度夏に2週間から3週間の期間で再度渡米して、以上の二つの点に関する調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、コロナ禍で現地調査が実施できなかった三か年研究期間の二年目、三年目の課題に取り組んだが、予定していた現地調査を(若干量ではあるが)終了することができず、未使用額が生じた。2022年8月に2週間程度の現地調査を行うことによって、全額使用予定である。
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