本研究は、文献調査と現地調査によって、カジノ産業を誘致したアメリカ先住民部族のコミュニティの変容過程と、カジノ収益金を戦略的に用いたローカルな先住民アクティビズムの実態を掘り下げて調査することができた。インディアンカジノ時代(先住民が保留地産業を用いて経済的発展を遂げ、政治的、文化的、社会的復権を達成してきた時代)は、第一期復権期であるレッドパワー運動期には達成できなかった「貧困」の克服を部族自治の主たる目的とし、かつ、入植者植民地主義がもたらした「排除の理論」を経済活動によって乗り越えようとする、先住民の第二期復権期として先住民史に位置付けられよう。
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