• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

ポスト紛争期の水俣における「負の遺産」の生成過程に関する博物館人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01182
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

平井 京之介  国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (80290922)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード水俣病 / 博物館 / 負の遺産 / 記憶 / 水俣
研究実績の概要

令和4年度は、「負の遺産」の活用による社会への影響について明らかにするために、約1か月間の現地調査を実施した。現地調査では主に以下の4つの内容について調査をおこなった。①水俣病センター相思社や水俣病を語り継ぐ会、水俣市立水俣病資料館、熊本県水俣病保険課などを対象として、水俣病の歴史にかかわる遺産を案内するガイドツアーや体験学習、修学旅行などの活動が水俣社会や参加者にどのような影響を与えているかについて聞き取り調査を実施した。②水俣で水俣病を伝える活動に従事してきた4名の方に、案内や語りを通じて何を伝えようとするのか、なぜ伝えようとするのか、どのような手ごたえを感じているか等について、ビデオ撮影しながらインタビューをおこなった。③水俣病資料館の展示、水俣病関連資料データベース、水俣病犠牲者慰霊式、語り部制度、水俣病啓発普及事業などの水俣病を伝える活動を、被害者団体と行政とがいかにして協働でおこなってきたかに焦点を当てた聞き取り調査と文献調査を実施した。④水俣病センター相思社が運営する水俣病歴史考証館において、漁具や生活用具、生原稿などの展示資料がどのように保存管理されてきたか、それらの保存管理の方法が職員の水俣病の歴史についての見方とどのように関連してきたかに焦点を当てた聞き取り調査を実施した。
また、研究成果の一部として、「小規模ミュージアムの資料管理――水俣病歴史考証館の事例から」『国立民族学博物館調査報告』155号を発表した。さらに、1990年代に水俣で水俣病を伝える活動が始まった経緯について、これまでに収集したデータをまとめ、研究論文として発表する準備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度は2か月間の現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響があり、約1か月間の現地調査しかできず、予定していた複数の資料館・図書館における資料調査を実施することができなかったため、さらに1年間の補助事業期間延長を申請することとした。

今後の研究の推進方策

2週間程度の現地調査を実施し、相思社資料室、水俣市立水俣病資料館、国立水俣病総合研究センター、熊本学園大学水俣現地研究センターなどで資料調査を実施し、令和4年度までに蓄積された歴史的データを補足する。さらに、1990年代に水俣病センター相思社が行政と協働して水俣病を「負の遺産」として保存・活用するようになった経緯について、これまでに収集したデータをまとめ、学術雑誌で発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた現地調査を十分におこなうことができず、次年度にその分の現地調査を延期して実施する予定である。具体的には、令和5年度に、約2週間程度の現地調査を実施し、相思社資料室、水俣市立水俣病資料館、国立水俣病総合研究センター、熊本学園大学水俣現地研究センターなどで資料調査を実施し、令和4年度までに蓄積された歴史的データを補足する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 小規模ミュージアムの資料管理 : 水俣病歴史考証館の事例から2022

    • 著者名/発表者名
      平井 京之介
    • 雑誌名

      国立民族学博物館調査報告 = Senri Ethnological Reports

      巻: 155 ページ: 89~99

    • DOI

      10.15021/00009976

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi