研究実績の概要 |
3年目となる今年度は、新型コロナの状況をふまえ、各種の現地調査は断念した。一方で、いくらかの研究成果を公開できた。 出版物としては下記のとおりである。『生きるための地域史―東海地域の動態から』(渡辺尚志との共編、勉誠出版、2020年10月)、「【コラム】江戸時代の富山湾と漁師の『目』」(富山大学地域づくり研究会(編)大西宏治・藤本武(責任編集)『大学的富山ガイド―こだわりの歩き方』昭和堂、2020年10月)、「漁村と漁業権、紛争」(阿部猛・落合功・谷本雅之・浅井良夫(編)『郷土史大系 生産・流通(上)―農業・林業・水産業』朝倉書店、2020年10月)、Nakamura, Shingo.“The importance of local customs to fisheries in early modern Japanese fishing villages.”In Muscorlino, Micah and Liu Ts’ui-jung (ed.), Perspectives on Environmental History in East Asia: Changes in the Land water, and Air. Abingdon and New York: Routledge, February, 2021. また、2021年2月27日、第55回東京歴史科学研究会大会・準備報告会(Zoom開催)にて、「近世・近代移行期における沿岸漁業秩序―越中灘浦を対象に」と題した口頭報告を行った。 上記成果は沼津市内浦、富山湾周辺、酒田市飛島を対象とし、漁民の漁業・海域に関する経験知の解明、生業・生活の多角性の分析という本研究の軸と密接している。また、初年度以来、現代史への注目の重要性も感じてきた。上記『生きるための地域史』収録の個別論考は、その問題意識にもとづいた成果でもある。
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