研究課題/領域番号 |
18K01188
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 只吾 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (40636370)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近世・近代移行期 / 漁村史 / 漁民 / 漁業 / 経験知 / 生業 / 生活 |
研究実績の概要 |
4年目となる今年度は、新型コロナの状況をふまえ、各種の現地調査は断念した。一方で、いくらかの研究成果を公開できた。 出版物としては下記のとおりである。「魚に生かされた浦々の歴史―伊豆と三陸と回遊魚」(『ビオストーリー』35、2021年6月)、「近世・近代移行期における沿岸漁業秩序―越中灘浦を対象に」(『人民の歴史学』229、2021年11月)、「第八章 一七世紀の越中灘浦における漁業秩序の動態」(北陸中近世移行期研究会(編)『地域統合の多様と複合』桂書房、2022年1月)、「近世漁民の漁場認識―越中灘浦・氷見浦を事例に」(『とやま民俗』97、2021年1月)、「第二章 イワシ漁と海辺の暮らし」(武井弘一(編)『イワシとニシンの江戸時代―人と自然の関係史』吉川弘文館、2022年2月)。 また、口頭報告は次のとおりである。「近世・近代移行期における沿岸漁業秩序―越中灘浦を対象に」(第55回東京歴史科学研究会大会、2021年4月17日、Zoom開催)、「近世漁民の漁場認識―越中氷見浦・灘浦、出羽飛島を事例に」(富山民俗の会例会、2021年6月12日、富山県民会館)。これらはそれぞれ、先述した『人民の歴史学』『とやま民俗』への掲載記事につながるものである。 上記成果は三陸沿岸(陸前唐桑)、伊豆国内浦、富山湾周辺、出羽国飛島を対象としたものであり、漁民の漁業・海域に関する経験知の解明、生業・生活の多角性の分析という本研究の軸と密接している。特に今年度は、富山湾周辺に関して多くの成果を発表できたのが特徴である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大のため、各種の現地調査を実施できなかったぶん、遅れが生じている。 一方で、出版物や学会での研究発表を通して、三陸沿岸(陸前唐桑)、伊豆国内浦地域、富山湾周辺、出羽国飛島についての研究成果を公開できたとともに、その取り組みの中で、研究を深めることもできた。 また、これまで継続してきた、沼津市内浦小海日吉家文書の目録作成について、作業完了には至らなかったが、引き続いて一定程度、作業を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2022年度は、伊豆国内浦、酒田市飛島、富山湾周辺に関して、これまでに収集した史料の分析作業を進め、論文発表や学会報告へとつなげていく。 新型コロナの状況をみながら、それらの地域や三陸沿岸(陸前唐桑)に関する調査・史料収集作業も、可能な限り実施する。 また、内浦小海日吉家文書の目録作成作業を継続し、完成を目指す。 特に新型コロナのため研究の進捗に大きな影響が生じていることから、一年間の期間延長も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスのため、各種の現地調査が実施できず、旅費や海上調査のガイド、船舶のチャーター・燃料代等、それにかかる費用の支出がなかったことが大きい。今年度、現地調査が実施可能な状況となった際の費用として想定しておきたい。
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