研究課題/領域番号 |
18K01188
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 只吾 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (40636370)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 近世・近代移行期 / 漁村史 / 漁民 / 漁業 / 経験知 / 生業 / 生活 / 地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本近世・近代を主な対象として、当該期の自然・社会環境に培われた漁民の経験知の実態および、それらと関連した漁村秩序の動態を解明することを目的としている。研究の展開に際しては、漁業および海域に関する経験知の分析および、漁民の生業・生活の多角性(ライフスタイル全般)の把握を活動の軸としている。 今年度は下記の調査活動を実施した。2023年7月26~29日、宮城県気仙沼市唐桑町鮪立にて、漁業知や当地の暮らしなどについての聞き取り調査および巡検を実施した。同年8月30日~9月2日には、山形県酒田市飛島にて、漁業知や当地の暮らしなどについての聞き取り調査や、近世の漁場について検討するための海上調査を実施した。同年9月25日には、富山県魚津市にて、漁業知や当地の暮らしなどについての聞き取り調査を実施した。これらの調査によって、近世・近代の分析にも参考となる資料を収集し認識を深化させることができた。 また、発表した研究成果は次のとおりである。①「漁民の知と生活経験の地域性―近世および近代への移行期に注目して―」(『歴史学研究』1042、2023年11月)では、漁民の知の性質を地域における生活経験との関連に注目しながら論じた。②「『豆州内浦漁民史料』と近世漁村の生活世界」(第27回常民文化研究講座、2023年12月9日、神奈川大学横浜キャンパス)では、近世漁村における「人々が生きる総体的な場」としての生活世界を、文献史料からいかにして把握し得るかについての考えを述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までは、新型コロナの影響もあり、各種の現地調査を十分に実施できなかった。それに対して今年度は、数回の現地調査を実施でき、順調な進展があったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本来は2022年度が最終年度であったが、新型コロナの影響により現地調査が十分に実施できていないことから、2023年度、一年間の延長を行った。その結果、先述のとおり、各種の調査を比較的、順調に実施できた。しかしながら、それまでの停滞の影響が大きく、十分にこなしきるには時間が不足していたため、もう一年間、延長することとした。 2024年度は、研究の一旦のまとめを意識しながら、伊豆国内浦、酒田市飛島、富山湾周辺、三陸沿岸(陸前唐桑)等の地域を対象とした調査を可能な限り実施したい。加えて、これまでに収集した史料の分析作業も進め、論文発表や学会報告へとつなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度まで、新型コロナの影響により現地調査が十分に実施できず、旅費や海上調査の費用等、見込んでいた費用の支出がなかったことが大きい。昨年度、一年間の延長を行い、一定程度、順調に現地調査を進めることができたが、十分にこなしきるには時間が不足していたため、もう一年間、延長することとした。引き続き、今年度の現地調査のための費用として見込んでおく。
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