研究課題/領域番号 |
18K01191
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 さゆり 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (40447503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ミャンマー / ビルマ / ミャンマー音楽 / ミャンマー古典歌謡 / 口唱歌 / 口頭伝承 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ビルマ古典歌謡の伝承手段である口唱歌を記述・分析し、口唱歌の体系を明らかにすることである。口唱歌とは楽器音を声で言葉で伝えるもので、世界各地の音楽伝承で見られる伝承手段である。本年度の研究実績は以下の通りである。 (1)2019年4月から半年間、マンダレー大学に所属して滞在し、マンダレーの竪琴奏者ドー・キンメイの竪琴の口唱歌による伝承を報告者自身が受け、口唱歌とそれが指示する音の対応の記録を進めた。ドー・キンメイの他の弟子に対する伝承の撮影・録音記録を行った(2019年4月7日-9月24日)。 (2)国際学会、45th ICTM (International Council for Traditional Music) Conference, (於、タイ、バンコク)にて、“Bazat-hsaing or Mouth-music: Oral Transmission Systems of Burmese Classical Songs”のタイトルで、本研究の基礎的なデータをまとめて口頭発表を行った(2019年7月11-17日)。 (3)国際ワークショップ、Myanmar studies without Burmese? by The School of Culture, History and Language(於、オーストラリア、キャンベラ、オーストラリア国立大学)にて“Some features of the formation of genre in Burmese Classical Songs: Using Burmese as an indispensable language”のタイトルで口頭発表を行った(2020年3月13日)。 (4)2点の学術書共著を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い、本研究の基礎的なデータをまとめた国際学会・国際ワークショップにおける発表を2回行った。また、半年間の現地調査においては、竪琴奏者ドー・キンメイのもとで報告者自身が竪琴の伝承を受けることで口唱歌の仕組みについての理解を進めることができた。特に、当初計画していた、口唱歌の書き取りをいくつかの曲について完成することができた。さらに、ドー・キンメイの他の弟子に対する教授の様子の撮影・録音を大量に実施することができ、口唱歌のデータを豊富に集めることができた。本研究のデータ収集を着実に進めることができ、また、口唱歌の体系についても記述を進め、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査で本研究の基礎的なデータを十分に収集することができ、体系化の記述も進めることができた。今後は本研究課題のまとめとして、口唱歌の体系的記述を完成させる。8-9月(コロナの影響で渡航できない場合には12月と2021年2月に延期)にはマンダレー市のドー・キンメイのもとで竪琴の指導を受けながら口唱歌の記述の完成を目指す。また、2020年7月28日-8月5日(コロナの影響で2021年3月13-21日に延期)にミャンマーのバガンで開催予定の6th SYMPOSIUM OF THE ICTM STUDY GROUP ON PERFORMING ARTS OF SOUTHEAST ASIA (PASEA)にて、“Transmission and Memorization of Myanmar Classical Songs: with Special Reference to Akwek or the Smallest Units of Music”のタイトルで口頭発表をアクセプトされている。この発表において、本研究のこれまでの成果を口頭発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画時よりも経済的に研究できたため、次年度使用額が生じた。 2020年度はミャンマーにおける国際学会発表6th SYMPOSIUM OF THE ICTM STUDY GROUP ON PERFORMING ARTS OF SOUTHEAST ASIA (PASEA)への参加旅費と、毎年行っているマンダレー市の竪琴奏者ドー・キンメイのもとでの現地調査旅費に使用する計画である。
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